Novellが、これまで市販していたソフトウェアパッケージのソースコードを公開した。この製品はMicrosoft Windowsに代えてLinuxを利用することを容易にするものだ。
Linux業界の新勢力となっているNovellは、先月にもYAST(Yet Another Setup Tool)インストレーション/コンフィギュレーションツールのオープンソース化を発表している。そして同社は米国時間11日に、Evolution Connectorでも同じような方針転換を実施することと語った。このソフトは、同社のEvolution電子メール/カレンダープログラムがMicrosoft Exchangeサーバからデータを取り出せるようにするもので、これまではXimian Connectorと呼ばれていた。
同社広報担当のKevan Barneyは、Evolution Connectorの価格はコンピュータ1台あたり69ドルだったと話している。同製品は、5月15日から無償でダウンロードできるようになるが、ソースコードは既に入手可能になっている。
YASTとEvolution Connectorはこれまで、それぞれを開発したXimianとSuSE Linuxがユニークな形でライバルより優位に立てるよう設計されたプロプライエタリなプログラムだった。しかし、Ximianを2003年に、そしてSuSEを2004年に買収したNovellは、一段とバラエティーに富んだ自社のソフトウェアスイート製品を利用して利益を上げられる。
BarneyはNovellの判断について、「われわれは、Connectorの搭載する重要な機能がExchangeへのアクセスを必要とするLinuxユーザー全員に浸透しておらず、このことがLinuxデスクトップの導入を遅らせていると感じた」と語った。
NovellのSuSEは売上第2位を誇るLinux OSで、同社ではデスクトップソフトウェアを投入し、Microsoftや、Linux販売首位を走るRed Hatとの差を縮めたいと考えている。なお、Red Hatも先頃デスクトップLinux製品を発売したばかりだ。
YASTとEvolution Connectorは、どちらにもGeneral Public License(GPL)が適用される。同ライセンスでは、だれでもソースコードを閲覧、修正、再配布できるが、ただし修正版を配付するときは該当する部分を必ず公開することが前提だ。
ソフトウェアをGPLで公開することは、競合他社やビジネスパートナー、そしてマニアたちが自由にこれを利用できることを意味する。オープンソースの世界では、ライバル同士が頻繁にこのような形で他社製のソフトウェアを利用し合っている。たとえば、Novellではソフトウェアのインストールやアップデートを容易にするRed HatのPackage Managerソフトウェアを採用している。
実際にRed Hatは、NovellのEvolution Connector公開に注目している。Red Hat広報担当のLeigh Dayは、「これがオープンソース化されたので、Red Hat DesktopやRed Hat Enterprise Linuxの一部に利用すべく評価を進めている」と語った。
GPLの利用は、Novell以外のプログラマがプロジェクトに寄与できることも意味する。Barneyは、このような支援を歓迎すると話している。しかし同氏は、YASTとEvolution Connectorの著作権は現在すべてNovellが所有しており、今後もこれを放棄することはない、と話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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