シアトル発--Microsoftは、アジアなどの新興成長市場における販売モデルがうまく機能していないことを知りつつも、どう修正したらいいのかがまだわかっていないと、同社のある幹部が語った。
先週開催されたWindows Hardware Engineering Conference (WinHEC)のパネルディスガッションで、MicrosoftのWindows Client部門のディレクター、Matthew Priceは、「どう解決したらいいか、まだわかっていない。課題が山積している」と語った。
MicrosoftやPCメーカー各社にとって、未開拓の巨大な収入源となり得る新興市場は、とても重要だ。特にブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国はパソコンの普及率が10パーセント以下だが、これに対して米国ではすでに約60パーセントに達している。現在、Microsoftの売上全体に占めるこれらの市場の割合はごくわずかだ。
さらに同社は、一部の外国の政府や学術機関で人気を呼んでいるLinuxなどのオープンソースのソフトウェアの利用を食いとめたいとも考えている。
今のところ、新興市場における取り組みのなかで一番の成果を挙げたのは、タイ政府が国民に対して実施しているローコストPC提供プログラムの一環として、Windows XP HomeとOfficeの機能限定版を販売したことかもしれない。
Priceによると、同プログラムを通して15万台のパソコンをタイ国民の手に届けることができたが、ただし購入者のほとんどは同プログラムの開始前からすでに購入を検討していた人だったという。
タイ政府がコンピュータの販売業者となり、郵便サービスを利用して出荷し、カスタマーサポートのために独自のコールセンターを設けたことから、タイのプログラムには多数の問題が発生したとPriceは述べている。
「ちょっとした混乱があった。皆が実際、品質に満足していない」(Price)
マレーシアでも同じようなプログラムが始まったばかりだが、Priceによるとタイよりも関心は薄いという。「(タイと)同じような成功は収めていない。注文についても、もっとずっと少ない」(Price)
その結果、Microsoftはいまだに悪戦苦闘しながらビジネスモデルに手を加えている。「様々なことを試している。業界全体として、これが我々にとって役立つものかどうかがわかるのは先のことだ」(Price)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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