Sun Microsystemsと同社のパートナー企業は今週、ケーブルTV用セットトップボックス向けのJava技術を確立し、ひとつ勝ち星を挙げた。だがライバルにあたるMicrosoft側でも、Sunのある幹部の引き抜きに成功し、また独自の技術でSunに対抗する構えを見せている。
SunとEricsson、Intel、松下電器、Nokia、Philips Electronics、Siemens、Texas Instruments(TI)の各社が構成するSun陣営では、ローエンドのセットトップボックス向けに考えられたJavaのあるバージョンを承認した。これにより、番組ガイドのカスタマイズや好きな役者を視聴者投票で選ぶといった機能を求めていたケーブルTV事業者の間で、Javaの採用が進む可能性が出てきた。
しかし、Microsoftは今週、独自のTV向け技術の開発を進めるために、James Van LooというSunの元幹部を雇い入れたことを発表した。同氏はSunでデジタルTV標準の開発に取り組んでいた人物で、3月26日にSunを退社していたと、同社のある関係者は説明している。現在Van LooはMicrosoftで、OpenCable Application Platform(OCAP)向けの開発プログラムを統括している。OCAPは、さまざまなセットトップボックスと連携する双方向サービスソフトウェアの提供に向けた、ケーブルTV業界が定める技術標準だ。
SunとMicrosoftは4月に、技術協力を進めるための契約を交わし、Java関連の法廷闘争に決着をつけたが、今回の動きを見ると、両社はいまだにライバルとして争っていることがわかる。両社はこれまで何年にもわたって、携帯電話、サーバ、デスクトップPC、自動車や他のコンピュータ分野を支配するべく争いを繰り広げてきている。
SunのJavaは、同じプログラムをさまざまなデバイスで動作させるための基盤を提供している。Microsoftは当初Javaの支持に回っていたが、後にC#というプログラミング言語と、それに付随するCLI(Common Language Infrastructure)という同種の独自技術を採用したことで、Javaと決別している。
5年前、CableLabsはJavaをベースにしたOCAP標準を制定したと、Sunのコンシューマ&モバイルシステム事業部のCTOであるDavid Rivasは語る。同標準はなかなかブレイクする機会を得なかったが、その理由として、ケーブルTV会社がOCAPをサポートするようなハイエンドのセットトップボックスだけでなく、既存のエントリーレベルのモデルもサポートする必要があったからだ。
Javaの支持団体は5月3日、OnRamp to OCAPと呼ばれる、これらローエンドのセットボックス向けに設計された新バージョンのJavaを承認したとRivasは説明する。OnRamp to OCAPの登場により、ケーブルTV業者は多くの既存のセットトップボックスだけでなく、将来的にOCAP向けのセットトップボックスに向けたJavaプログラムの記述が可能となるとRivasは話す。今後2年以内に、セットトップボックスの半分以上がOCAP対応モデルになると同氏は予測している。
一方Microsoftも5月3日、OCAP対抗として同社のCLI標準をCableLabsに提出している。CableLabsはCLI標準の評価に向けてワーキンググループを立ち上げる予定だと、Microsoftでは説明している。
Sunでは、この行動を好意的には受け取っていない。「Microsoftは、すでに開発が行われ決まっている標準があるにもかかわらず、 CableLabsに揺さぶりをかけようとしている」とRivasは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス