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わが道を行くグーグルの「オーナーズマニュアル」

Jim Hu(CNET News.com)2004年04月30日 22時34分
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 米Googleの創業者、Larry PageとSergey Brinは常に自分たちのやり方を貫いてきた。

 そんな彼らの姿勢が最も顕著に現れているのが、Googleが新規株式公開(IPO)のために規制当局に提出した書類の中に含まれている「An Owner's Manual' for Google's Shareholders(Googleの株主のためのオーナーズマニュアル)」と題された全7頁からなる公開書簡だ。この書簡は、Googleの2人の共同創業者が公開企業としての同社の信条を明確に示す目的で作成した組織の宣言書であるが、その内容は公開企業の運営に関する従来の原則の大半に反するものとなっている。

 Pageが執筆を担当したその書簡には、二人の共同創業者と同社CEO、Eric Schmidtの3人による指導体制から、短期的な利益のために企業理念を曲げるような“邪悪な”企業にはならないという組織の公約に至るまで、同社の概要が全て記されている。同社は、食事の無償提供といった従業員に対する給料以外の特典にかける費用の増額、2種類の株式を発行することによる役員の議決権確保、さらに金融業界向けに財務予測を発表しないことを公約している。その代わりに、利益に直結しないものの、長期的に見て重要と思われる事項に注力していく。

 この書簡には以下のような記述がある。「短期的には業績にマイナスであっても、長期的に見て株主の利益になると判断すれば、われわれはその道を選択する。われわれは不屈の精神でこれを実行するので、株主にも長期的視点に立つようお願いする」

 事実、PageとBrinは、従来とは異なる企業を作るという理想をGoogleに浸透させてきた。1988年にスタンフォード大の博士課程を中断して同社を設立して以来、二人は従業員に対し食事を無償で提供したり、定期的にビアパーティを開くなどの優遇をする一方で、個々の従業員の創造的追求を支援するような企業環境を作ってきた。

 金融業界の監視と株主の要求にさらされる中で、PageとBrinが現在の楽園のような環境を維持するためには、依然として非常に厳しい課題が残っている。過去の歴史から学ぶとすれば、Googleの最大のライバルであるYahooほど最適な手本はない。Googleと同様、Jerry YangとDavid Filoという二人のスタンフォード大の大学院生が創立したYahooは、ドットコム不況で危機に直面した際、幹部を解雇した上、それまでの企業文化を放棄した。

 以下は、Googleの二人の創業者がオーナーズマニュアルの中で、彼らの言葉で概要を記した、同社の公約および方針である。

 金融業界対策:「多くの企業は、アナリストらの予測通りの利益水準の維持を迫られている。よって、それらの企業は、金額は大きいが予測不可能な利益よりも、額は小さくても予測可能な利益を選ぶことが多い。しかしSergeyと私はこの発想は企業にとって有害と考えており、われわれは正反対の方針で行こうと考えている」

 リスク対報酬:「われわれが通常手掛けている分野以外のプロジェクトを行う場合、どの程度かけ離れた分野まで扱うかはリスクに対する報酬の高さによって決める。特に、初期投資が小額の場合は積極的に専門外の分野に挑戦する。われわれは従業員に対し、労働時間の2割を使って通常手掛けているプロジェクト以外で最もGoogleの利益になると思われる仕事に取り組むよう働きかけている。リスクを伴うプロジェクトの大半は失敗に終わるが、失敗から学ぶこともある。その他のプロジェクトは成功し、魅力ある事業になる。」

 経営幹部の意思決定:「タイムリーな意思決定が容易に行えるようにするため、Eric、Sergey、私の3名は毎日顔を合わせ、ビジネスについての最新情報を交換すると共に、最も重要かつ即断を要求される問題について集中的に検討する。通常は3人のうちの1人が決定し、事後的に他の2人に要点を伝えている。これはわれわれが互いに絶大な信頼と敬意を抱いているためであり、また通常われわれの思考が似通っているためでもある。」

 2種類の株式発行:「こうしたやり方はIT企業としては異例だが、メディア業界では一般的であると同時に、大きな重要性を持つ。New York Times、Washington Post、さらに「The Wall Street Journal」の発行者である Dow Jonesの3社は皆、同じような二階級の株式所有構造を取っている。しばしばメディア関係者らは、この二階級の株式所有構造のおかげで、メディア企業は、四半期決算に変動があっても、中心的かつ長期的な仕事である真摯な報道に集中してこられた、と指摘している。」

 Google社員:「われわれは従業員に対し、無料の食事、医者、洗濯機など、異例の特典を与えている。われわれは従業員にこれらの特典を与えることによって企業にもたらされる長期的メリットについて慎重に考えている。今後もこれらの特典を減らすのではなく、むしろ増やしていく方針だ。」

Kumbaya:「われわれはGoogleを、世界をより良くする企業にしたいと切望している。現在われわれは、Google基金の設立に向け準備を進めている。われわれは、基金にかなり多くの資源を寄付するつもりだ。具体的には、従業員の時間やGoogleの株式と利益の約1パーセントなどを何らかの形で提供しようと考えている」

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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