MySQL、データベース界の「ホンダシビック」となるか - (page 2)

Martin LaMonica and Stephen Shankland (CNET News.com)2004年04月26日 15時19分

 データベース市場大手のOracleやIBM、Microsoftらは、MySQLとの競争を軽く考えているようだ。大手の製品は完成度が高く洗練されているし、分析などの高度な機能やアドオンを提供できる、というのが彼らの言い分だ。

 しかしUrlockerは、付加価値などない製品でも、負荷の高いコンピューティングタスクを処理できるという。たとえば、Dellが販売しているような1基または2基のプロセッサを搭載するサーバはコモディティと考えられているが、こうした製品が非常に重要度の高いコンピューティングタスクで利用されている。

限界を押し広げる

 MySQLの顧客には、データベースが実現できることの限界をすでに押し広げているところもある。

 Sabre Holdingsという旅行予約サービスでは、顧客向けウェブサイトの運営に使用するマシンを、メインフレームコンピュータとハイエンドUnixサーバから、LinuxやMySQLなどさまざまなオープンソースソフトウェアを搭載した約45台のIntelサーバに切り替えた。この移行により、データベースライセンスだけでも数百万ドルを節約できた、と同社幹部は述べている。

 Eコマースウェブサイト、PriceGrabber.comは、1999年のサイト設立当初からMySQLをデータベースに採用してきた。MySQLが使いやすいことと、技術スタッフが安価なハードウェアサーバ上でオープンソースソフトウェアを利用するのが好みだったことが採用の理由だと、同社の技術担当バイスプレジデントCorey Ostmanは説明している。

 「事業を開始した5年前には、Oracleを使うのが当たり前だった。(しかし)われわれは、MySQLはセットアップも非常に簡単で、使いやすいと思った」(Ostman)

 同社は現在、2つのMySQLデータベースに約50Gバイトの製品情報を保存しており、この情報は1日に6回更新されるという。ウェブサイトのトラフィックや機能が増すのと同時に、MySQLも常にデータベースに新機能を追加したので、MySQLはPriceGrabberのニーズに合っていた。

 PriceGrabberは2001年のある時点で、トランザクションが集中するシステムのデータベースを別のものに移行することを検討したことがある。だが、「他のデータベースの利用による困難を考えると、移行できなかった」とOstmanは述べている。同氏は、MySQLは今のところ、PriceGrabberのニーズに十分応じられるレベルに成熟していると付け加えている。

異なるビジネスモデル

 MySQLには、規模の小さな企業へのアピールを狙った新たなオープンソースビジネスモデルがある。同社では2つのライセンス形式で製品を提供している。ひとつは、サポートサービスを求める顧客への有料の商用ライセンスで、もう一方はオープンソースのGNU一般公衆利用許諾契約(GPL)に基づいた無償ダウンロードによるデータベースの提供だ。

 MySQLはオープンソース開発者コミュニティの力を借りて、顧客やアプリケーション開発者が求める機能を構築している。商用データベース会社では、しばしば大企業顧客から要求があった機能を追加するが、その開発コストは全部の顧客が負担することになる、とShainmanは言う。

 しかしMySQLは、典型的なオープンソース組織とは趣を異にしている。同社はLinuxと同じGNU GPLのもとで公開されているが、利用のされ方はLinuxとはずいぶん違う。Linuxでは、プログラマ各人が自らの貢献内容の著作権を保有するが、MySQLではコード全体の著作権をMySQLが保有する。

 MySQLが全著作権を保有することによる効果はいくつかある。まず、MySQLではプロプライエタリなライセンスでデータベースをリリースすることも可能で、事実同社はそうしている。第2に、同社はプログラミングニーズに対する主な責任を負うことになり、多数のLinux専門家やボランティアの力を借りられなくなる。だが同社は、デバッグやテストなどの作業ではオープンソースコミュニティと協力している。

 MySQLのソースコードはGPLでリリースされているため、プログラマは、同社とは方向性の異なる別バージョンのMySQLを新たに作成することもできる。しかし、それではMySQLのコードベースから分岐しまうため、MySQLに依存している他のソフトウェアパッケージと互換性がなくなる可能性がある。

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