MySQL、データベース界の「ホンダシビック」となるか

Martin LaMonica and Stephen Shankland (CNET News.com)2004年04月26日 15時19分
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 スウェーデンのある新興企業が、データベース分野でMicrosoftに戦いを挑んでいる。しかもその戦術は、Microsoftがデータベース市場への足がかりを築いたのと同じ、ローエンドをターゲットとするものだ。

 社名と同じ名前のオープンソースデータベースを販売するMySQLは、数年前まで企業顧客の間では無名の存在だった。しかし、同社のデータベースは価格競争力があり使いやすいことから、現在では小規模で安価な選択肢を求める顧客の支持を集めつつある。

 そして同社にはお金も集まっている。昨年の売上は、前年比2倍の1200万ドル(1000万ユーロ)となり、今後もさらに成長すると見られている。MySQLの幹部も、2004年には利益が一時的に減少するものの、2005年には安定した利益を上げると予想している。なお、2004年度の落ち込みは、グラフィック管理ツールやクラスタ機能の追加といった新たな開発プロジェクトへの投資によるものだという。

 Microsoftのデータベースソフトウェア市場での成功物語は、1990年代半ばまでさかのぼる。OracleやIBMと対抗するために他社からローエンドの製品を購入した同社は、これに「Microsoft SQL Server」という名を付けて売り出した。ビジネスアプリケーションと組み合わせやすいこの製品はやがて、主に規模の小さな企業や大企業内の各部門で普及していった。

 そのようにして、低コスト製品から出発点したMicrosoftが、現在では全世界のデータベース市場で20%近いシェアを持ち、大企業向け分野でOracleやIBMなどの市場リーダーに対抗するようになった。

 ところがこの動きにより、当初同社が強みとしたローエンドの分野に隙が生じ、そこに食い込んできたのがMySQLである。

 「われわれとMicrosoftには共通する部分がいくつかある。われわれも開発者から選ばれることやコミュニティの形成を重視している。また(Microsoftは)常に使いやすい製品を開発する点ですばらしい実績を持つ」と、MySQL(本社スウェーデン・ウプサラ)のマーケティング担当バイスプレジデントZack Urlockerはいう。しかしUrlockerは、両社の違いも指摘している。MySQLはWindows専用ではない点も、そうした違いの1つだ。

 自社技術の先進性を売りものにするソフトウェアメーカーが多いなか、MySQLはデータベース界の「ホンダシビック」であることに満足している。MySQLは、ウェブサイトへデータを渡すといった簡単なタスク処理のための考えられた「コモディティ」製品で、最先端の機能は備わっていない。

安くて使いやすいのが人気の秘訣

 MySQLデータベースは、価格も安く、その分機能的な要求も少ない製品の市場セグメントでシェアを伸ばしているが、Microsoftも最初はこのセグメントから参入した。MySQLはこの市場を、OracleやIBM、Microsoftなどのデータベース業界大手の手が行き届いていないニッチだと見ている。同社の製品は、ほとんどの用途に「十分役立つ」データベースを求める組織にアピールしている、とMeta Groupのデータベース専門アナリスト、Mark Shainmanは述べている。またMySQLは、オープンソースソフトウェア--とりわけLinuxオペレーティングシステム(OS)のコスト効率のよさについて、人々の意識が高まっていることに乗じている。

 「Oracleなどのデータベースプラットフォームを見ると、山ほどの機能が搭載されている。しかし組織がやりたいことの大半は非常にシンプルであり、特に部署レベルではその傾向が非常に強い」(Shainman)

 プログラマや規模の小さな組織にアピールしているオープンソース・ソフトウェアメーカーのなかでも、Microsoftにもっとも直接的な脅威を与えているのはMySQLだとShainmanは述べている。

 「MySQLの価格やLinuxの成長を評価し、以前はMicrosoftだけしかなかった環境にMySQLを導入する企業が増えるだろう」(Shainman)

 MySQLは積極的なマーケティング戦略は行なっていない。そのため、裏口から企業のなかに入り込むパターンの方が多いとUrlockerは言う。つまり、データベースのライセンス購入予算がないときに、プログラマ個人や一部署がひとまずMySQLを利用しはじめる。そして、後に企業がこのソフトウェアの大規模な利用を検討する、というパターンだ。

 Marten Mickosは2000年にMySQLの最高経営責任者(CEO)に就任すると直ちに、既に地位を確立している大手のプレイヤーに戦いを挑むかわりに、ユーザー層をできる限り広げることに同社のエネルギーを集中させた。

 「私が最初に言ったのは、『Oracle打倒なんて考えるな』ということだった。直接対決となれば、彼らはかならずやり返してくる。われわれは、いかに新たな市場にサービスを提供するか、新たな市場を作り出すかという尺度で成功を測らねばならない」とMickos。同氏によると、MySQLデータベースを利用したアプリケーションは、航空運賃検索などの新しいサービスが主流であるという。使いやすさも重要で、同社の目標は顧客が15分でデータベースをインストールできるようにすることだ。

 「データベース市場の歴史はまだ始まったばかりだ。将来は、あらゆるところからデータベースのニーズが生まれてくるだろう。Oracleは、世界に1つだけ巨大なデータベースがあればいいと考えているが、われわれは分散モデルが有効だと信じている」(Mickos)

 このように考えているのはMySQLだけではない。他にも、PostgreSQLFirebirdなど有名なオープンソースデータベースが存在する。

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