中国は独自の携帯電話データ通信標準の開発を進めているが、公式メディア、政府、そして今度は国内外の企業など、この動きを支持する者が増えてきている。
それにもかかわらず、一部にはこの国産標準も、確立された国際的なプラットフォームによって脇に追いやられてしまうのではとの声もあがっている。
中国の開発したTD-SCDMA(時分割同期CDMA)とIP over SDH(インターネットプロトコル・オーバー同期デジタル階層)は、国際電気通信連合(ITU)から先日3G標準として認定された。
中国のニュースWebサイト、china.org.cnの報道によると、これらの国産標準は、100件以上の特許を生みだしてきた中国国内における通信関連の研究成果だという。中国の情報産業次官、Lou Qinjianはこの記事の中で、この分野は外国の技術を吸収して急速な発展を遂げており、これらの中国製標準をサポートすれば莫大な利益を得ることができるだろうと主張している。
中国の研究者たちは外国企業に流れ出てしまうライセンス料を懸念し、コンピュータのオペレーティングシステムからAV圧縮や3Gデータ標準まで、あらゆるものの独自標準作成に大々的に取り組んでいる。そこには、国産の標準を輸出することで、この流れを反転させたいという思惑がある。
現在優勢な携帯通信標準のCDMAは、米Qualcommに帰属するもので、またGSMは外国企業のつくるコンソーシアムの所有となっている。
現在、1つの国として世界最大の携帯電話市場である中国には、2億2100万人以上の利用者がおり、毎月400万人が新たに加入している。分析結果によると、中国はいずれ最大の無線データサービス利用国になる見込みだという。中国政府では2004年後半に3Gのライセンスを発行する計画だ。
政府は、膨大な数の上る消費者の存在が、外国企業による中国市場での国産標準の採用に拍車をかけることを期待している。この政策の立案者たちは、ライセンス料を競合する標準より低く設定することで、中国製技術を搭載した製品の人気が海外で高まることに期待をかけている。
中国の独自標準を支持する外国企業のなかには、ドイツ最大の電子機器メーカーであるSiemensなどがおり、同社は中国の通信機器ベンダーであるHuaweiと共同でTD-SCDMAベースの電話機の開発、製造、および販売を行うという。
しかし、国内で首位を走る携帯電話事業者の幹部は、中国の3G標準がコストや有効性でWCDMAと競合できるようになる可能性を疑問視している。
TD-SCDMAは、自動車の走行中には回線が切断されたり、基地局間のハンドオーバーがまだ不安定だ。
Norson Telecom Consultingのアナリストによると、中国の4大携帯/加入電話会社のうち3社がWCDMAネットワークの構築に重点を置き、その補助プロトコルとしてTD-SCDMAを採用するという。残り1社の電話通信会社はライバルのCDMA2000技術を選ぶ方向だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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