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不屈の男、バルマー

Ina Fried(CNET News.com)2004年04月15日 10時00分
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 MicrosoftのCEOSteve Ballmerの最近の言動には、「超楽観的」という言葉がぴったりくる。

 端から見ると、Microsoftは数々の難問を抱えている。先日は欧州で独禁法違反訴訟に敗れ、6億1300万ドルの制裁金支払いを命じられた。ソフトウェアでも、セキュリティの問題が多発している。株価は低迷し、Linuxの脅威は増すばかり。次期Windowsの発売時期もあいまいなままだ。

 しかし、Ballmerにめげる様子はない。それどころか、訴訟問題は収束に向かっており、Microsoftはこれからもホームユーザーとビジネスユーザー双方に画期的な製品を提供していくと断言している。

 3月末にEUの裁定が出た直後、BallmerはCNET News.comの記者らのインタビューに応じた。Sun Microsystemsとの和解が発表される前のことだ。 インタビューの内容はIT業界の現状からOS開発の権利、Microsoftの思春期からの脱却まで、多岐にわたった。

---現在の状況をどう見ますか。

 私は非常に楽観的な見方をしています。これは、Microsoftについてだけではありません。IT、特にソフトウェアが社会に与える影響についても楽観的に見てます。ソフトウェアが社会に与える影響は、今後も加速度的に強まっていくことでしょう。言うなれば、グラスはまだ半分空っぽなのです。これからもたくさんの新しいこと、刺激的なことに取り組んでいくつもりです。そして世界を変え、株主に価値をもたらすような製品を生み出していきたいと思います。

---EUとの訴訟は、オペレーティングシステム(OS)にはどのような機能を統合すべきなのか、あるいは統合すべきでないのかという問題を改めて提起するものでした。お考えのOSの輪郭線に従ってOSをデザインすると、OSに追加すべき機能として、どのようなものが挙げられますか?

 (米国の)和解命令では、製品の設計に関する限り、我々は適切と思うことをほぼすべて実行できることになっています。もちろん、柔軟性や公開性といった面では、ある程度の義務を果たさなければなりません。米国の地方裁判所や上訴裁判所は、審理に「条理の原則(rule of reason)」と呼ばれる概念を導入しています。これはビジネス活動の是非を競合企業の不利益になるかどうかではなく、消費者の利益になるかどうかで判断するというものです。

---Windowsに追加できる機能に制限があるとすれば、それはどのようなものであるべきでしょうか。

 制限を設けるべきではありません。必要なのは条理の原則です。米国では、当社の行動は条理の原則に従って判断されています。我々も条理の原則を尊重し、支持し、それが定めるところに従っています。「消費者の利益が明白であり、それが他の問題を上回っている限り、解決に向けて動くべきだ」というのが条理の原則の考え方です。その際には裁定の規定に従います。対象がミドルウェアなら、ミドルウェアに関する義務を果たし、それ以外の製品の場合は、別の義務を果たすことになります。

---消費者の利益をどう判断するのですか。長期的利益と短期的利益を比較するのでしょうか。

 ブラウザを例に取れば、Internet Explorerは無料で、Netscapeは30ドルでした。長期的な視点からすると、Netscapeには将来性がないという意見もあります。 米国の裁判所は条理の原則の適用を明言しており、我々もWindowsに新しい機能を加えるときはその点を考慮しています。判断するのはマスコミでもなければ、我々でもありません。では、Netscapeが廃業して問題はないのか。おそらくないでしょう。条理の原則において、Netscapeが廃業することは問題とはなりません。ブラウザのビジネスが条理の原則から逸脱しているとは、聞いたことがありません。我々が市場に参入することに問題はなかったということです。

---ここでいう条理の原則を8年前の状況に適用しても、Microsoftの行為は正当だったと?

 その通りです。我々はやはりブラウザやMedia PlayerをWindowsに統合したでしょう。

---「統合された革新(Integrated Innovation)」によって、Windowsがさらに閉鎖的になることはありませんか。

 Windowsは他のどのOSよりもオープンなプラットフォームです。その証拠に、これほど多くのアプリケーションやデバイスが対応しているプラットフォームはありません。

---オープンソースの視点からいえば…

 いいえ、オープンソースの方がオープンで、第三者によるイノベーションを促すという議論は成立しません。オープンソースについてはさまざまなことがいえるでしょうが、WindowsのAPI(Application Programming Interface)が他製品とは桁違いに広く利用されてきたことは揺るぎない事実です。

---Microsoftにとって、目下の最大の課題は何ですか。

 攻めの姿勢を崩さず、正しい行いに集中し、新しい課題を認識することです。正直なところ、今日では問題に迅速に対応することが、10年前とは比べものにならないほど重要になっています。

---というと?

 10年前は新機能を追加することの方が、既存機能の問題を解決するよりもはるかに重要でした。ブラウザ戦争の時代には、NetscapeやIEのセキュリティ問題を取り沙汰する人はいなかった。人々は「ちょうだい、ちょうだい、とにかく新しい機能が欲しいんだ」と新機能をねだるばかりでした。しかし、状況は一変しています。

 裁定やその関連規定によって、Microsoftはこれまでにない期待と責任を背負うことになりました。だからこそ、守りに入らずに大胆に挑戦し続けること、みんなの興味をひくこと、新しいシナリオを提示し続けることが重要なのです。

 かつて、Microsoftのビジネスは1つか、せいぜい1つ強の分野に収まっていました。デスクトップ製品と、あとはサーバのバックエンド製品が少々といったところです。ところが、現在のビジネスは6から7の分野に及んでいます。

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