ノーテルネットワークスは4月8日、同社の推進するNGN(Next Generation Networks)戦略について説明会を開催した。NGNとは、IP技術を利用して電話やデータサービスなどのマルチメディアをひとつの統合ネットワーク網で提供するためのコンセプトだ。
ノーテルネットワークスのワイヤラインネットワークスディレクター 清水謙二氏は、現在の固定網通信事業者の抱える課題として、携帯電話やインターネットなどあらゆるコミュニケーション手段が普及したことで固定網の売上げが減少し、ビジネスモデルが成り立たなくなりつつあることをあげる。「固定網通信事業者は、いかにビジネスモデルを変革し、長期的な成長と収益性を確保するかを考えなくてはいけない」と清水氏は指摘する。
ノーテルネットワークスのワイヤラインネットワークスディレクター 清水謙二氏 |
ここでノーテルの提案するのが、ネットワークコンバージェンス、つまりNGNの基礎となるネットワークの融合である。TDMやデータネットワーク、無線ネットワークなどは、これまで個別に存在し、個別に発展を遂げてきたが、これらすべてを融合し、新サービスと既存サービスをバンドルすることで、新たな収益機会を創出できると清水氏は説明する。
NGNアーキテクチャの具体例としては、例えばパケットネットワークのなかでもコスト高の原因となっているサービスエッジ部分の改善が考えられる。現在サービスエッジには、エッジルータ、IPサービススイッチ、マルチサービスWANスイッチ、イーサネットスイッチなど様々な機器が存在しているが、これらを全部ひとまとめにして1台のマルチサービスエッジとするのが理想像というわけだ。現在このような製品は存在しないが、ノーテルではこのような製品の実現を目指して研究開発を進めているという。
また、コアネットワーク部分に存在するIPコア、MPLSコア、ATMコアなどをひとまとめにしてコンバージドMPLSコアとすることでもNGNアーキテクチャが実現できる。この部分に関して、ノーテルはAvici Systemsと提携し、Aviciのコアルータ製品をノーテルがNGNソリューションとして共同開発、販売およびサポートを行っているという。
サービスにおいては、主に音声サービスがノーテルの得意とする分野だ。NGN実現において重要とされるソフトスイッチの収益別世界シェアを見ると、ノーテルはシェア38%で、2位のCisco Systems(シェア9%)を抜いて圧倒的な優位性を持っている。また、同じく音声サービスでのNGN実現に結びつくメディアゲートウェイポートの出荷台数別シェアも、ノーテルは42.3%とトップを走っている(ともにSynergy Research調べ)。「ノーテルは、ケーブルや無線、市内通話、長距離通話を問わず、すべてのセグメントでVoIPが実現できる技術を持つ唯一のベンダーだ。それゆえにこのような高いシェアを確保することができる」と清水氏はいう。
ノーテルでは、1月に米国通信事業者Verizon Communicationsとの契約を発表し、Verizonの長距離音声用有線ネットワークを、VoIP技術を利用した統合パケットスイッチ有線ネットワークに置きかえるとしている。また3月には日本でもケーブル・アンド・ワイヤレスIDCとの契約を発表、音声ネットワークを完全なIPネットワークに移行し、次世代マルチメディアサービスの実現を目指すとしている。「一般の電話網をVoIPに置き換えるには高度の技術が必要で、実現には3年〜5年はかかると思われていた。ノーテルではこれまで通信事業者の交換機を扱うなど通信分野で豊富な実績があり、VoIPでも優位性を発揮することができた」と清水氏は説明し、今後もNGN実現に向けたソリューションを提供していくと語った。
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