RFID(Radio Frequency Identification)技術は、サプライチェーンに関連する業務を合理化する方法として注目されているが、広く利用されるまでにはまだ紆余曲折がありそうだ。
マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置く調査会社Forrester Researchが発表した最新の調査報告によると、小売最大手のWal-Martに商品を供給している主要サプライヤーの圧倒的多数が、同技術の利用開始を予定している2005年1月までに導入を完了できそうにないという。Wal-Martは、RFIDの導入に最も積極的な企業のひとつだ。
31日(米国時間)に発表されたこの調査報告では、さらに、Wal-Martが大々的に掲げたRFID技術の導入に必要な項目を満たすことができる企業の割合は、当初の60%からわずか25%まで減少しているという。昨年12月にForresterが調査の対象を拡大して以来、要求項目を達成できないとみているサプライヤーが増加していることが明らかになった。
Wal-Martは昨年6月に、100社の主要サプライヤーに対し、膨大な数に上る納入する商品の箱や容器にRFIDタグを付けるように要請した。RFIDタグにはチップが組み込まれており、在庫管理のための識別情報や無線技術が搭載されている。
具体的には、同社は2005年1月までに、ダラスにある同社の3つの配送センターに搬入される全ての商品の箱や運送用のパレットにRFIDタグを貼り付けるようサプライヤーに求めた。かみそりメーカーのGilletteをはじめとする、同技術の導入が進んでいるいくつかの企業は、Wal-Martが定めた期限を遵守できる予定だが、他の多くのサプライヤーはこの期限に間に合いそうもないという。
同社にとって最も大きな懸念は、RFID技術を利用することで導入にかかる費用を上回る十分な恩恵がもたらされるという点に関して、Wal-Martがサプライヤーから十分な理解を得られていないことだろうと、Forresterは述べている。業界に精通する者の多くは、RFIDの導入によって在庫管理が改善され、多大な経費削減につながるとみている。
Wal-Martが提示している現在のガイドラインに従うと、RFIDの導入にかかる費用は典型的なサプライヤーでおよそ900万ドルとなり、場合によっては1億ドルに上る可能性もあると、Forresterは予測している。
さらに同調査結果では、チップに保存されている情報を読み取るいわゆるRFIDスキャナやRFIDタグそのものを含めた、現在のRFID技術の互換性に関して、サプライヤーの懸念が高まっていることにも注目している。Forresterは、このような状況を生み出した責任は、RFID技術のベンダーと、これまで標準規格を定めることができていない業界にあるとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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