インターネットを舞台に活動するマーケティング業者らは、これまでの手法よりも効果が高く、しかもユーザーの邪魔にならない、新世代のオンライン広告の到来を約束している。だが、これまでの手法にうんざりしているネットユーザーたちを相手に、新しいタイプの広告がまがいものではないことを説得するのは、簡単にはいかないかもしれない。
180solutionsという企業は、こうしたトレンドを代表する1社だ。同社は今週、いわゆる「アドウェア」に一捻りしたと称するダウンロード可能なプログラムをリリースする予定だが、ユーザーはこのプログラムを使って、自分のコンピュータ画面上に一定の数の広告を表示させるのと引き替えに、無料でダウンロード可能な音楽や他のコンテンツへアクセスできるようになるという。
180solutionsは、ユーザーがアドウェア製品や、同社がリリースして過去に非難を受けたn-Caseへの抵抗を強めるなか、危ない橋を渡ろうとしている。だが、同社は先日カリフォルニア州メンロパークにあるSpectrum Equity Investorsというベンチャーキャピタルから、4000万ドルもの資金調達を行うなど、大きな後ろ盾を集めている。
英国のVibrant Mediaという別の新興企業は、ウェブ上で公開されたニュースや他の記事の本文に登場するキーワードにリンクを付し、これを通じて広告を配信するシステムで事業展開を進めている。このシステムは、来週にも米国にデビューする予定だが、Vibrantはその際に検索業界大手のOverture Servicesとの提携を発表する計画だ。
オンライン広告業界では、過去数年にわたって売上減少が続いていたが、2003年第4四半期の売上が前年対比38%の伸びをみせて22億ドルに達するなど、ここに来て急速な業績の回復が進んでいる。Vibrant Mediaによる発表はこうしたなかで行われることになる。アナリストらは、2004年度全体で同市場の規模が10%ないしはそれ以上拡大し、80億ドルを超える売上を記録することになると予測している。
「資金のあるところで技術革新が起こり、そしてこれらの新しい企業が広告主に対して、興味深い新たな広告手法を示し、まとまった額の広告費を使わせることになるだろう」と、Forrester Researchの主任アナリスト、Charlene Liは述べている。
マーケティング業者は長い間、インターネットが広告業界に大きな変化をもたらすとふれまわり、読者が実際に見たい広告だけを配信する新技術を約束してきた。しかし、現実はこうした謳い文句とは程遠く、広告主のネット離れが起こり、またDoubleClickのような業界のパイオニア企業による初期の取り組みは、プライバシーの問題に突き当たった。
オンライン広告業界は新たなやり方でこうした問題に対応し、検索エンジンをつかったマーケティングで大ヒットを飛ばした。だが、ポップアップ広告やアドウェアのような他の手法には、かなり強い反発が生じている。
Vebrantと180solutionsの登場は、ウェブユーザーが(アドウェアなどをブロックするツールで防衛することで)それら古い手法に慣れつつあるなかで、オンライン広告業界に新しい波が押し寄せてきていることを示すものといえる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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