Apple ComputerとAdobe Systemsは、本社の市外局番もかわらないほど近くにあり、またこれまで同じユーザー層を共有し、さらにそれぞれがパーソナルコンピュータの黎明期にまでさかのぼる歴史を持った企業だ。しかし、多くの長期的関係がそうであるように、両社の20年に及ぶ関係にもさまざまな紆余曲折があった。
いま、両社の関係はどちらかというと冬の時代に入っている。ここ数年は、Adobeが複数のソフトウェア製品でMacintoshのサポートを中止し、またWindows専用アプリケーションを投入するなど、霜が降り始める兆候がいくつも見えている。同時に、Appleのほうも自社製アプリケーションを販売、もしくはMac OS Xオペレーティングシステム(OS)にバンドルしたことで、結果的にいくつかの市場からAdobeを締め出してしまった。
両社の密接な関係は今後何年も続くだろうが、その関係は以前よりも疎遠なものになっていると、アナリストや両社の顧客は指摘している。
「両社は、10〜20年前にはお互いを本当に必要としていた。だが今は、そのような必要性が明らかに低下している」というのは、ソフトウェア業界の業界紙「Softetter」の編集発行人であるJeffrey Tarter。同氏によれば、「Windowsの性能が向上し、ついにDTPにも十分に使えるプラットフォームになった」ことで、プロのグラフィックス制作者がMacよりも安価なWindowsプラットフォームに移行できるようになっているという。
「製品や所有権、資金調達といった面で、もともと両社が"持ちつ持たれつ"の関係にあったことを考えると、現在の状況は"つかず離れず"としか言いようがないものだ」と、Adobeの顧客で、カリフォルニア州サンマテオに本社を置く管理コンサルティングサービス会社、Roberts Information Servicesのオーナー、Roland Dumasは述べている。
AdobeとAppleの関係者からの、この記事に関するコメントは得られなかった。
AdobeのCEO(最高経営責任者)Bruce Chizenは、昨年行われたインタビューの中で、同社とAppleとの関係に言及して次のように語っている。
「AppleとAdobeは親密な関係にある。(Apple CEOの)Steve Jobsとも個人的に非常に強固な関係が続いており、定期的に連絡を取り合っている。競合する分野では競合し、また提携する分野では積極的に提携することで、互いに合意している。結局のところ、プロのクリエータという顧客層に対して適切に対応するという点で、両社には共通の利害がある」(Chizen)
「AdobeとAppleの関係は、良かれ悪しかれ夫婦のようなものだ」とChizenは述べ、さらに「両社にとって、この関係は重要なものだ。双方が違いを認め合いながら、今後もこの関係を維持し、強化していかなければならない」と付け加えた。
現在、両社の間には次のような不和が生じている。
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