米Adobe Systemsは、7月7日(米国時間)にビデオ編集ソフトウェアの最新バージョンを発表する予定だ。この新製品には、Windowsでしか動作しないアプリケーションも含まれており、Adobeはまたもや、米Apple ComputerのMac OSを切り捨てる態度を明確に示したことになる。
パブリッシングおよびイメージングに特化したアプリケーションで知られるAdobeは、デジタルビデオ編集機能を目玉とするPremiereの最新バージョンを発表する。最新のPremiere Proは、MicrosoftのWindows XPのみで動作し、数年続いたMac OSのサポートは打ち切られている。
また、Adobeは、ビデオにさまざまな視覚効果を追加するソフトウェア、After Effectsもアップグレードする。このAfter Effects 6.0には、MacとWindowsの両OSバージョンが用意される予定。さらに、同社がSyntrilliumから買収したオーディオ編集プログラムAudition(Syntrillium時代の製品名は「Cool Edit Pro」)も近々発表される予定だ。Auditionは、Windows版のみの提供となり、このAuditionとPremier Pro、After Effects、それにDVD作成ツールのEncore DVDをパッケージしたAdobe Video Collectionも、Windows版のみとなる。
同社デジタルビデオ製品グループのシニア・ディレクター、David Trescotは、Premiereの最新バージョンは一から完全に書き換えたもので、Macをこれ以上サポートしても財務的にもとがとれないと述べた。
「Premiereは一から書き直したプログラムだ。MacとWindowsの両方をサポートしようとするなら、さらに作業に時間と労力をかけなければならなかっただろう」(Trescot)
同氏はまた、Mac OSには、AppleのFinal Cutファミリなど、すでに競合するいくつかのビデオ編集アプリケーションがあり、市場が小さいわりに競争が激しいと述べた。
「Appleがすでにアプリケーションを提供しているのであれば、サードパーティの開発者にとって、市場はかなり小さくなる。もし現在のように、Appleがソフトウェア市場に進出を続けるのであれば、今後、サードパーティのベンダーがMac OSをサポートしないとの現象が増えるだろう」(Trescot)
これに対してAppleでは、同社のビデオ事業戦略の正しさを裏付けるものとして、Adobeの決断を歓迎した。「新たなPower Mac G5の発表およびFinal Cut Pro 4に盛り込んだ新たな機能を考えれば、Premierユーザーが(Final Cutへ)乗り換えるには、またとない絶好のチャンスだ」と、Appleは声明のなかで述べている。また、「それでも、AdobeとAppleは、今後もすばらしい関係を維持し続けるだろう。Adobeが新Power Mac G5にPhotoshopを対応させると表明したのはその証拠であり、この二つを組み合わせると、以前とくらべて2倍も高速な性能をもつシステムを実現できる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」