国連が開催したインターネット関連のサミットが米国時間26日に終了。インターネットの運営に対して、比較的貧しい国々が影響を持つべきという点では意見の一致をみたが、その詳細については参加者間の合意を得られなかった。
国連のインターネット作業部会が主催した、2日間にわたるこのサミットは、発展途上開発国に対して、スパムからルートサーバの運営まで、こうした国々から出されていたさまざまな提案を洗い出すためのリストを提示する目的で開かれた。
5つの作業グループが26日午前に各々の結論を発表したが、その際唯一合意を得られた点は、「何をなすべきか」というあいまいで議論の余地の無いいくつかの原則に関するものだけで、そうした原則をいかに実現させるかに関する具体的な提案については、まったく合意に達しなかった。
ある作業グループは、国連がインターネットの「中立性、説明責任、参加型という特徴」をさらに前進させるために行動を起こし、現在ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)などの組織が監督している「意思決定の国際化という課題に引き続き対応していく」べきだと述べた。また、別のグループは、国連が「ベストプラクティスを簡易に見つけ出せるようにする、共同作業的なアプローチを採用する」ことを望むと述べた。
同作業部会は来年まで会合を重ね、2005年にチュニジアで開催予定の会合で国連事務総長のKofi Annanに報告書を提出するという目標に向け、引き続き作業を行う。国連事務総長代理のLouise Frechetteは閉会の言葉で、このイベントが「スパム、ネットワークセキュリティ、プライバシー、情報セキュリティなど、数多くの分野における世界標準の開発に向け、国際的な協力を進める必要性がある」ことを浮き彫りにしたと語った。
ICANN、IETF(Internet Engineering Task Force)、W3C(World Wide Web Consortium)などの各代表者は、それぞれのミーティングは一般に公開されており、多くの審議がメーリングリストを含めたオンラインで行われていると述べ、インターネットの現在の組織的構造を擁護した。
Sun Microsystemsの主任研究員で、ISOC(Internet Society)の理事も務めるJohn Gageは、「簡単な要求を提示したい」と述べ、以下のように続けた。「ブラジル、南アメリカ、スペイン、エジプトなど、この部屋に代表者を送り込んだあらゆる国々が、自国の若く優れたエンジニアにわずかな額でも奨学金を提供し、IETFのミーティングに参加させるべきだ。そこに参加すれば、インターネットの未来の技術的側面に関して決定を行うすべての人間に会えるからだ」。
表現の自由に対して寛容さを示す伝統のない第3世界の国々が、インターネットの運営に深く関与するようになると、結果的に検閲の問題が浮上することは避けられないとの懸念がある。 これに関して、World Press Freedom Committeeという団体は、サミット会場で自らの立場を主張するポジションペーパーを配布し、「自国のネットトラフィックにすでに検閲をかけているような全体主義国家の政府は、国際的にもコンテンツのコントロールを求めるようになり、また国ごとにこうしたコントロールを正当化しようとするだろう」との警告を発した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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