ワシントン州レドモンド発- Yahoo CEO(最高経営責任者)Terry Semelによると、ことオンライン広告に関する限り、YahooとMicrosoftは同じチームに属する仲間だという。
Semelは米国時間26日、広告スポンサー各社の幹部らを前に、オンライン広告がもたらす機会と、信頼性の確立という業界の使命に重点を置いた講演を行った。
Semelは、今年で5回目となるMicrosoftのオンライン広告カンファレンスに集まった500人以上の広告クライアントを前に講演し、「広告市場全体に占めるオンライン広告のシェアを、大幅に拡大させるという共通の目標があるのだから、YahooやMicrosoftのような企業にとっては、協力を進めることが重要だ」と語った。
YahooとMSNが長年ライバル関係にあることから、Semelのゲスト講演を場違いに感じた参加者は少なくなかった。しかし、MSNの最高収益責任者であるJoanne Bradfordは、この奇妙な取り合わせについて、次のように説明した。
「私が競争相手を家の中に招き入れるのを見て、頭がおかしいのではないかと誰もが思っている。だが実際には、この競争相手は最大のパートナーでもあるのだ」とBradfordは述べ、同社のMSNが検索広告の分野で、Yahooが保有するOverture Servicesと提携していることに言及した。
MSNがこうした態度でYahooを持ち上げる背景には、現在Microsoftにとって検索分野が最優先課題になっているとの事情がある。同社CEOのSteve Ballmerはこの前日、自社のこの分野に対する対応が遅れていることを嘆いてみせた。こうした態度はまた、検索広告分野でMSNがYahooに依存している実情を反映したものでもある。この分野は、今年80億ドルの総売上が見込まれるオンライン広告業界にあって、その半分近くを占めると予想されている。さらに、この発言には、両社が共同で検索業界第1位のGoogleに対抗していることを象徴する効果もある。
さらに、両社のこうした態度は、オンライン広告業界が勢いを増しつつあるなかで、ネットで広告を展開する最大級の広告主や代理店に対して、両社が共同戦線を張っていることを表すものでもある。オンライン広告は、ドットコム・バブルが崩壊して以来何年もマイナス成長を続けてきたが、ここにきて数四半期連続でプラス成長に転じている。YahooとMicrosoftは、動画広告やブランド広告、検索広告といった新たな機会を提供して、従来の媒体に振り向けられている広告予算から、いっそう大きな分け前をオンライン広告に振り向けさせようとしている。
MSNのBradfordによると、オンライン広告業界は今後数年間で、従来の媒体広告予算に対するオンライン市場への支出の割合を、現在の約3%から8%分へと引き上げようとしているが、こうしたなかで最大手のウェブ企業各社は、ライバルのビジネスを奪うのではなく、市場全体の成長を目指して競い合っているという。
Interactive Advertising Bureau(IAB)の会長、Greg Stuartは、YahooやMSNも参加する同団体ではこのような目的を達成するために、インプレッションのカウント方法など各種の測定基準の開発に取り組んで、市場を発展させ、広告主にとって利用しやすいものにしようとしていると語った。
かつて映画会社Warner Brothersの経営責任者を務め、過去3年間はYahooを率いてきたSemelは、「業界の現状」について語った講演のなかで、ブロードバンド回線の普及によってコンテンツや広告ビジネスの機会が増大し、とりわけ動画を使ったブランド広告ではこの傾向が著しいと述べた。同氏はまた、現在高成長を続けている検索広告ビジネスの重要性を指摘し、これにはダイレクトマーケティングに似たところがあると述べた。同業界が今後成長するに従って、ダイレクトマーケティングとブランド広告の2つがオンラインでの支配的なチャネルになると、同氏は語った。
「みなさんにはクロスネットワークでの広告購入を検討していただきたい」とSemelは述べ、さらに「私はこれから我々がどちらに進もうとしているのかが分かっているが、しかし我々誰もが一緒にそうできることを願っている」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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