Microsoftが、オンライン商取引で常にそばに寄り添う信頼のおける案内役になろうとしていた時のことをご記憶だろうか?
同社は数年前、オンラインショッピングに関わる問題を解決する万能薬として、Passportというオンライン認証サービスを売り込み始めた。同社は、Passportサービスを数千社のオンラインベンダーに販売し、Microsoftが保管するパスワードと、それによって集まった大量の個人・金融情報で、インターネットでビジネスをするのに必要なものすべてが揃うようになると予想していた。
だが、現実にはこの予想をはるかに下回る展開となっている。顧客の無関心や、人目を引いた障害の発生、それに業界が支持するLiberty Allianceという信頼のおける競合技術の存在などが重なり、PassportはMicrosoftの自社サイトや、密接な関係にある一部の提携サイトでしか利用されていない。
アナリストらは現在、Passportは来年にかけてMicrosoftのインターネットインフラのほんの一部に過ぎなくなると述べ、身元情報を管理するより広範な計画が次期Windowsの「Longhorn」まで延期になったことをその理由に挙げている。
「Passportには大した役割はないようだ。少なくとも2〜3年前に概略が明かされたような役割はない」と調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoffは述べ、さらに「Microsoftからはいずれ、Passportは自社サイトおよび密接な関係にあるパートナーサイト向けのもので、そのままにしておく、という話が出てくると思う」と付け加えた。
Gartnerのアナリスト、John Pescatoreは、「市場の大半は、Microsoftに拘束される独自のアプローチを拒否した。PassportがほとんどMicrosoftから離れられず、擁護されたままの一方で、Liberty Allianceは進化を続け、さまざまな分野である程度の影響力を持ち始めている、というのが弊社の見解だ」と語っている。
Microsoftの関係者に対しては、この記事に関して繰り返しコメントを求めたが、回答は得られなかった。ある関係者は、Microsoftが現在もPassportにコミットしていると主張 しながらも「新たに話すべきことは何もない」と述べた。
ここ数カ月は、時々発生する障害への対応以外、Microsoftの幹部からPassportに関する話は出ていない。
同社は、1998年4月にFirefly Networkを買収してPassportの技術を取得し、その1年後に広範なeコマース戦略の一環として同サービスを再び立ち上げた。
Passportの認証機能は、Microsoftが提供するHotmailなどのウェブベースのサービスに組み込まれ、また同社は一般ユーザー向けのサービス戦略の一環として、Passportを使った認証サービスを他のサイトへ再販する計画を発表した。
しかし、その後数年を経たいまでも、Passportのサインイン機能をオプションとしてサポートしている大手サイトはわずかしかない。オークションサイトのeBayは当初このサービスを支援すると宣伝していたが、いまでは同サイトでPassportが利用できることを示すのは、カスタマーサポート用ページの奥深くに埋もれた表示しかない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」