アトランタ発--米国時間22日に当地で携帯電話用の着メロ自動販売機が発表となったが、これは大手エンターテインメント企業が、通信キャリア各社を通さずに、全米1億5600万人の携帯電話加入者に自社製品を直販する最新の例だ。
Smart Serve最高経営責任者(CEO)のRobert Ponsによれば、ほとんどの携帯電話で使用可能な着メロを配信するこの自動販売機は、今後3カ月のうちにBest BuyやRadioShackといった大手家電チェーンやコンビニエンスストアに登場するという。携帯メールを専門とする同社は、タッチスクリーンメーカーのMerit Industriesと協力し、着メロ自販機を導入しようとしている。ユーザーは、タッチスクリーンの指示に従い、着メロを購入する仕組みになっている。
この自動販売機は、米国の通信事業者とエンターテインメント業界とが繰り広げる権力抗争を物語るものだ。エンターテインメント企業各社は、昨年から人気歌手や話題の映画に関連する着メロ、ゲーム、グラフィックや携帯電話コンテンツの販売を開始した。自動販売機や他のさまざまな新技術を活用することで、こうしたコンテンツ提供者は、携帯電話会社と通常交わさなければならない利益分配契約や、彼らの厳格な管理を回避しようとしている。
「通信事業者を巻き込めればいいと思うが、私は現実主義者なのでそうはしない」と、Ponsはコメントした。
一般的に、通信事業者は提示された何百ものアプリケーションの中から、ごく一部だけを選び、発売前に広範なテストを実施してからソフトウェアを販売している。これらの事業者は、ユーザーへの料金請求と徴収をはじめとする自分たちの役割に対して、分け前を確保する。
通信事業者は、携帯電話エンターテインメントに関し、自分たちがとる「囲い込みアプローチ(walled garden approach)」という閉鎖的な態度を弁護している。このアプローチにより製品の品質が保たれ、バグだらけのソフトウェアがユーザーに配信されるのを防止できるというのが彼らの言い分だ。また、ワイヤレスエンターテインメント市場がまだ初期段階にあり、市場を注意深く育てていく必要があると通信事業者らは述べている。
両者の戦いは、一部の関係者が数十億ドルに成長するだろうと予想する市場を巡るものだ。Ovum、Strategy Analyticsやその他の携帯電話市場アナリストは、携帯エンターテインメントが、今後数年のうちに、年間35億ドルをもたらす市場に成長すると予想している。しかし、今のところ、市場規模はまだ小さい。Verizon Wireless副会長のLawrence Babbioによると、同社は昨年11月に約6000万ドル相当の着メロを販売したという。Verizon Wirelessの共同所有者で、年間600億ドルを売り上げるVerizon Communicationsにとっては、これはわずかな金額でしかない。
だが両当事者とも、エンターテインメントをベースにした「キラーコンテンツ」が、この行き詰まりの打開策になり、通信事業者と大手コンテンツ企業はコンテンツの配信に関して今後別の方向へ進むことになると認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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