ワシントン発--米国は、情報関連技術における競争力を維持したければ、基礎研究用の政府予算を増やし、大規模な教育制度改革を実行しなければならないと、Intelの最高経営責任者(CEO)Craig Barrettは16日(米国時間)、ワシントンで警告を発した。
Barrettは、歯に衣着せぬ教育改革の支持者だが、同氏の予測によると、米国の政治家が何もしなければ、中国やインドの企業がIT市場を支配するようになるという。Barrettは、手始めに米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の予算倍増を提言した。NSFは、大学に研究助成金を提供しており、2005年度予算では57億ドルの申請を行っている。
「私のみるところ、多くの政治論争はがっかりするものばかりだ」と、Barrettは記者たちとの朝食会の席で語った。「政治家は、『いかに競争力を維持するか』ではなく、『いかに既得権を守るか』を話し合っている」(Barrett)
Barrettは、ここワシントンで、連邦政府のIT担当者や連邦議会議員たちとの一連の会議に出席しており、別の警告も発している。テロリスト対策と出入国査証政策が、意図した以外の結果を生んでおり、米国で学ぶ外国人学生の数が減少しているというのだ。
「競争を望むか、保護主義者となるか、どちらかの選択だ」とBarrettは言う。「なぜか米国人は、自分たちが永遠に世界一の経済大国であり続ける権利を神から与えられていると、思っている」(Barrett)
IT企業のCEOのなかで、米国の競争力について警鐘を鳴らしているのは、Barrettだけではない。今年初めにIntelは、Dell、Hewlett-Packard、Motorola、IBMなどと共同で、ある報告書を出して、米国の保護主義の高まりを警告し、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピンを成長中のコンピュータハードウェア輸出国として挙げた。
Barrettは、米国の初等及び中等教育制度の改革方法について、詳しいことはあまり述べなかった。彼が支持するスクールバウチャー(学校券:成果を挙げられない学校を転校する際に生徒に資金援助する制度)に関する質問に対しても、「教育制度の競争力を向上する方法なら全て支持する」と答え、さらに、自分の孫をロサンゼルスの自宅付近の公立校に入れようとは決して思わないと付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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