ウェブユーザーが存在しない「.com」や「.net」ドメイン名を入力すると、VeriSignのサイトに自動的に転送する同社の「Site Finder」サービスは現在休止状態にあるが、これについて、Go Daddyというドメイン名登録業者が数カ月前から批判を行ってきた。
そのGo Daddyが今度は資金を投じて、批判を裏付ける行動に出た。同社は米国時間2日、VeriSignが先週起こした訴訟で、訴えられたInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)側で発生する弁護士費用を、最大10万ドルまで負担することを明らかにした。
「理想的には、ICANNに弁護士費用の明細を送付してもらい、我々が最大10万ドルまでを支払う形になる」とGo Daddy社長のBob Parsonsは説明。「この10万ドルで費用を全額まかなえるとは思わない。全額使い切ることは、間違いないだろう」(Parsons)
VeriSignは先週、ICANNや米国政府と契約を結んで自社で管理している「.com」と「.net」のマスターデータベースへの新機能追加を違法に阻止されたとして、ICANNをカリフォルニア州ロサンゼルスの連邦裁判所に提訴した。Site Finderや「Wait Listing Service(待機リストサービス)」といった提案中の追加機能の多くは、ライバルのGo Daddyをはじめとするドメイン名登録業者の怒りを買い、各社は団結してVeriSignへの反撃に出た。
「彼らは自由にできる独占状態を望んでいる。彼らがその獲得に成功すれば、VeriSignを除く全員の負けだ」(Parsons)
今回の献金は予想外の皮肉な展開であり、Wait Listing Serviceの阻止を目指して昨年ICANNを提訴した登録業者の1社だったGo Daddyにとっては、どちらがましかで妥協した形だ。なお、この裁判は連邦裁判事が12月に却下している。
この献金額は、2003年会計年度で600万ドルを計上するICANNの予算を考えれば微々たるものだが、巨大なライバルとなり得るVeriSignに対して、多くの登録業者が抱く苛立ちと、訴訟の結果生じるかもしれない変化に対する不安を象徴している。
また、国連がインターネットの規制に関心を示し始めていることも未知の要因だ。国連傘下の国際電気通信連合(ITU)は先週、ジュネーヴでワークショップを召集しており、これは同団体がICANNに取って代わることを売り込む場と化していた。
今後の展開については、この訴訟が現在のインターネットのガバナンスに関するシステムを不安定なものに変え、国連がさらに深く関与することになる、という可能性が考えられる。「もしVeriSignが望みのものを手に入れたなら、ICANNの存在価値が薄れ、ドメイン名登録業者を監督する者がいなくなる」とGo Daddyの法務担当であるChristine Jonesは述べている。「重要度がもっと高いのは国連とITUだが、彼らはいまネットの支配権を手に入れようと試みているところだ」(Jones)
しかし、VeriSignではどちらの結果も望んでいないようだ。先週、同社バイスプレジデントのRusty Lewisが従業員に送ったメモは、「我々は、ICANNが信頼に足る団体であることが、インターネットにとってはベストの選択肢だと考えている。我々は、ドメインネームシステム(DNS)のコーディネーションに対するグローバルな枠組みを全面的に支持している。この訴訟で重要なのは、ICANNの立場や権限を明確にすることだ」と記されていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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