オープンソースとの共存を選ぶベンダーたち
現在、北米にはパートタイムを含めると、約110万人のオープンソース開発者がいると見られており、オープンソース型の開発は広く普及している。その結果、多くの企業は他社に遅れをとることを恐れて、オープンソースの試験的な導入を検討せざるをえなくなっている。
たとえば、サーバ企業のSunはLinuxの導入には遅れをとったものの、現在はオープンソース・パッケージを武器に新しい市場に参入しようとしている。12月にリリースされたJava Desktop Systemは、Sunがサポートを提供する複数のオープンソース製品を集めたものだ。また、開発ツール部門の最高技術責任者James Goslingによると、同社は最大のソフトウェア資産であるJavaのオープンソース化も検討しているという。
他社と同様に、Sunがオープンソースを検討したのは純粋に現実的な理由からだ。オープンソースソフトウェアの人気が高まる前も、ライセンス事業が熾烈な価格競争にさらされるようになっていたことから、企業は新しいモデルを模索していた。
「全体の一部として販売される物のコストは実質的にゼロであり、したがって価格もゼロに向かう。これはオープンソースかどうかの問題ではない。平均的なソフトウェア開発者は開発ツールよりもコーヒーに金を使っているものだ」とSunのオープンソース開発ツールプロジェクトNetBeansに取り組むGoslingはいう。
ビジネス上のジレンマを抱えているにもかかわらず、IBMをはじめとする有償ソフトウェア大手は、オープンソースは自社に利益をもたらしていると主張する。また、オープンソースはMicrosoftへの防衛策であるだけでなく、ソフトウェア企業が取り組むべき場所も明らかにしていると指摘する人もいる。
MySQLの最高経営責任者(CEO)Marten Mickosは、オープンソースソフトウェアは需要を喚起し、すべてのIT企業に利益をもたらすと主張する。オープンソース製品は「日用品」の分野で利用され、企業はハイエンドの製品やサービスを供給する。こうした棲み分けはほかの業界でも見られる。
「10年後には、“オープンソースの前はどうしていたんだろう”と首をひねるようになるはずだ」とMickosはいう。
大規模な自己変革のさなかにあるNovellには、まだ過去を振り返る余裕はない。オープンソースとプロプライエタリソフトという2本立てのアプローチが、従来のライセンスモデルよりも利益率が高いのかどうかも定かではない。しかし少なくとも同社の一部の幹部は、賢明に行動すればこの試みを成功させることができると考えている。
「常にコモディティ化の先を走ることが重要だ。間違っても、その後ろを走ってはならない」(Nugent)
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