日立製作所(庄山悦彦社長)は2月24日、360度どこからでも回り込んで映像を見ることができる新型立体映像ディスプレイ技術を開発したと発表した。この技術は、複数方向から映した被写体の映像を、特殊処理を施した回転スクリーンに同時に投影して、立体的な映像を表示するもの。日立の基礎研究所にある日立ヒューマンインタラクションラボが開発した。
これによって、視聴者は特殊な眼鏡の着用やホログラム映像のような特殊処理をすることなく、あたかも空中に浮かんでいるような立体映像を楽しむことが可能となる。
今回、同社では新技術をベースに、円筒形の立体映像ディスプレイ装置「Transpost」を試作した。この装置は、24方向から映した被写体の映像を、まず台座に組み込んだ液晶プロジェクタによって天板の鏡に投影し、天板の鏡で反射された映像は、回転スクリーンの周りに配置した24枚の鏡に投影され、さらに、この鏡で反射して回転スクリーンに投影されるという仕組み。
また、被写体に対して24方向からの映像を自動生成する専用撮影システムも開発しており、このシステムで撮影した映像を直接、液晶プロジェクタに送信することで、リアルタイムに実写の立体映像を表示することが可能。さらに、撮影システムと「Transpost」をネットワークで結ぶことで、実写を遠隔地にリアルタイムで送信できる。
具体的には、SF映画の世界に登場するように空中に人物や物体の立体映像を投影するシーンを実世界で実現できるほか、日本で作成したばかりのモックアップ(試作品)を海外でも同時に鑑賞して、商品設計の議論や顧客へのプレゼンテーションを行うなどの新しいビジネス形態が実現できる。
なお、今回開発した立体映像ディスプレイ技術は、コンピュータグラフィックスから実写映像まで、静止画、動画ともにフルカラーの表示が可能で、同社では、従来にないユビキタス時代の立体映像表現、情報配信のディスプレイとして、ビジネスやエンターテインメントの分野に広く応用していく考え。
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