楽天は19日、2003年度通期および第4四半期の決算を発表した。2003年度の連結業績は、売上高が前年比82.8%増の180.8億円、営業利益が同86.2%増の47.5億円、経常利益が同97.9%増の44.4億円で増収増益となった。純利益は、連結調整勘定売却による572億円などを計上したことで、526億円の赤字となった。
第4四半期の連結売上高は61.1億円、営業利益は19.2億円。事業部別の営業利益は、ショッピングモールやオークションを含むEC事業グループが18.2億円、ポータルサイトinfoseekやグリーティングカードサービスなどを含むポータル事業グループが6000万円、ブロードバンドやその他関連事業が3000万円となっている。この数字には、同社が昨年11月に買収を発表したDLJディレクトSFG証券の決算は含まれていないが、楽天の代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏は、DLJディレクトが連結されたと仮定した場合、「2003年度第4四半期の営業利益は30.7億円となり、年換算では約120億円の規模となる」と述べている。
楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏 | |
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EC事業グループについては、マイトリップ・ネットを除く第4四半期の流通総額が前年同期比76.4%増、前期比32.7%増の422.1億円と大幅に伸びている。件数ベースでも前年同期比84.2%増の313.8万件となった。これについて三木谷氏は「売上が芳しくない店舗に対するサポート体制を充実させたことや、ポイント施策、ランキングコンテンツなどのマーケティングがうまくいったため」としている。モールやオークションでのユニーク購入者数は、これまでの増加記録を大幅に更新して前期比35万人増の175万人となり、1店舗あたりの流通額も第3四半期の約401万円から506万円にまで拡大している。三木谷氏は「今後も流通総額を毎年80%増加させていく」と強気だ。
マイトリップ・ネットの第4四半期の営業利益は5.5億円。流通総額は前年同期比29.1%増の179.9億円だが、第3四半期の181.6億円からは若干減少している。三木谷氏は今後の方向について、「楽天IDとの統合をはじめ、楽天トラベルとの融合の具体策を検討していく。トップページもリニューアル予定で、レジャー分野を強化させていく。楽天からの人材投入も行い、マーケティングの専門部署も設置予定だ」としている。なお、同社常務執行役の山田善久氏が3月1日付でトラベル・エンターテインメント事業カンパニー社長に就任する。
ポータル事業では、2003年9月にインフォシークとライコスの統合を行ったばかり。三木谷氏は、「統合で一時的に減収となったが、営業利益は前年同期比で2倍以上(2100万円から8070万円)となった」と説明する。今後はオペレーション強化のため、三木谷氏が3月1日付けでポータル・メディア事業カンパニー社長となる。同氏はEC事業カンパニー社長も兼任する。
DLJの買収で金融関連事業に注目が集まっているが、三木谷氏は具体的な今後の戦略については多くを語らなかった。ただ、証券ビジネス、パーソナルファイナンス、ローンビジネスなどの展開を予定しており、楽天・DLJ間でのシナジー効果も強化していくという。最終的に「楽天では初心者や一般投資家を対象としたサービスを展開し、DLJがアクティブな投資家を対象にしたサービスを提供する」と三木谷氏。金融分野、特に個人向けサービスへの進出は同社の重要なビジネスになると三木谷氏は述べ、DLJディレクトSFG証券代表取締役社長の國重惇史氏が3月1日付けで金融事業カンパニー社長に就任してから戦略を発表するとしている。
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