ウイルス対策の専門家を相手に世間の前で長い間争ってきたベルギー人の女性ウイルス作者が捜査当局に逮捕され、起訴の処分を受けた。
「Gigabyte」と名乗るこのウイルス作者は、数年前から数多くのウイルスをばらまいてきたが、そのすべてがウイルス対策企業Sophosで働くGraham Cluleyという専門家への反感からだったという。彼女がつくったウイルスのなかには、たとえば感染したPC上で、自分が「Clueless(手掛かりなし)」というニックネームを付けた男に関する質問に答えるようプレーヤーに要求するゲームを起動するものや、感染したPCのユーザーにCluleyの首を切り落とさせるゲームなどがあった。
しかし、この些細な内輪もめは収拾がつかなくなる様相を見せ、そしてGigabyteはウイルス作者のコミュニティ以外ではほとんどの人間を敵に回した。
Gigabyteは、これまでにQuis、Coconut、Sahay、そしてSharpという、全部で4つのウイルスをばらまいたと考えられている。
いつくかの報告によると、名前の公表されていないこのベルギー人ウイルス作者は出身地のメヘレンで逮捕されたという。この女性は起訴された後、釈放されている。
警察は5台のPCを押収し、この女性が悪質なコードを公開したとされるウェブサイトを閉鎖した。
コンピュータデータ破壊行動の罪で有罪になれば、Gigabyteには最大3年の懲役と最高10万ポンド(19万0471ドル)の罰金が言い渡される。しかし、最近のウイルス作者やハッカー関連の裁判事件を見ると、最高刑は免れ、かなり緩やかな判決を言い渡される可能性が高い。
Gigabyteが不満を抱いた動機は、数年前にCluleyが「ウイルス作者の大半は男性だ」とコメントしたことだったという。Gigabyteはそれ以来、女性でも男のウイルス作者と同じような大混乱を引き起こせると証明してみせることを、自分の使命にしてきた。
だが皮肉なことに、Gigabyteの一連の自己顕示欲の強さが最終的には自らの破滅につながってしまった。SophosのセキュリティアナリストCarole Theriaultは、「ウイルス作者を突き止めるのは通常は極めて難しいが、表に出て自分のしていることを自慢し始めると、それが居場所の特定に役立つことが多い」と語っている。
Theriaultの話では、Sophosで働く人間はみな、悪質なコードを配布するという重大な犯罪に相応しい処罰が言い渡されることを望んでいるという。そして、Gigabyteの書いたウイルスで被害を受けた企業が現れ、その被害の程度をきちんと法廷で話すというようなことがあれば、どのような処罰を課すかを考慮するのに非常に役立つだろうと、同氏は述べている。
「Gigabyteは明らかにとても頭の良い人間だ。だからこそ、そんな人間がウイルス書きよりももっとマシなことに自分の頭脳を使わなかったのは、恥ずべきことだと思う」とTheriaultは付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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