GoogleのBloggerサービスが、Really Simple Syndication(RSS)から別の代替技術に鞍替えしようとしているが、この動きがウェブログの配信フォーマットを巡る熾烈な論争にさらなる軋轢を招いている。
Blogger.comを昨年買収した検索エンジン大手のGoogleは、先月から同サービスの100万人を超えるメンバーが、自分のウェブログをほかのウェブサイトにシンジケート配信できるようにした。だが同社ではこの機能の実装に、幅広く普及しているRSSに替えて、新しく登場してきたAtomフォーマットを採用した。
RSSとAtomの対立は、RSSを批判する人々が代替フォーマット作成に向けて集まった昨年の夏から、ウェブログの世界を二分してきた。この時以来、膨大な数のウェブログサイトと個人がAtomを支持する一方で、YahooはRSSの支持に回ってきている。
Atomだけを提供することにしたBloggerの決定は、RSS支持者の怒りを買った。GoogleがRSSを使うウェブログ利用者がつくる巨大なネットワークの分裂を助長しているとして、彼らは同社を非難した。
「Googleは、ウェブログユーザーを分裂させている。自社のソフトウェアを使っていないユーザーまでも巻き込んで」と、Dave Winerは長年続けている自分のウェブログ「Scripting.com」に書いている。同氏は、ハーバード大学フェローで、一般にRSSフォーマットの権威的存在と見られている人物だ。「RSSネットワークには、ベンダー各社が道理をわきまえて行動し、ユーザーを思いやるという前提に基づく暗黙の信頼関係がある。Googleの行動が証明しているように、参加者なら誰でも我々を分裂させることはできる。だが、私はこのコミュニティの構造を信じている。Googleが失敗するか、Atomが新しいシンジケート標準になるかのどちらかだ」(Winer)
Googleでは、Bloggerユーザーに対してAtomシンジケート機能だけを提供することを正式に認めている。しかし、有料会員として一度でもRSSを利用したことのある加入者は、これを利用し続けることができるという。同社は、Pyra LabsからBloggerのサービスを買収した際に、有料Bloggerサービスを撤廃している。
「Googleは何かを奪い取るわけではない」と同社の関係者は語っている。
だがRSS支持者の主張によると、Bloggerが既にRSSフォーマットを提供していることから、Googleはメンバーに対してRSSかAtomかの選択肢を提供することができたはずだ、と主張している。しかしAtomの支持者は、Googleがオープンソースソフトウェアとオープン標準をサポートしている関係から、Googleの措置を理にかなうものだとして賞賛した。
「RSSは長い間、特定のベンダーや組織にコントロールされてきた」とMark PilgrimというAtomプロジェクトの初期からの参加者は説明する。「一方Atomはオープンな標準であるため、人々はその仕様を指して自らもそれに従うということができ、また自分の競合相手にコントロールされているわけでもない。だが、RSSはそうではない。RSSをコントロールしているベンダーが、このGoogleの決定に驚いたとしても不思議はない。オープンな標準は皆に利するものだが、ただし彼らにだけは得にならない」(Pilgrim)
なお、Winerは、RSSやAtomに関する質問があれば、Scripting.comによこすようにとの指示を出している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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