IBM、Dell、Hewlett-Packard(HP)のような企業向けに、コンピュータ部品を製造している発展途上国の労働者は、劣悪な労働条件に苦しみながら、極端な低賃金のために働いている、という報告が27日(米国時間)に発表された。
英国の非営利組織、Catholic Agency for Overseas Development (CAFOD)は、メキシコ、中国、タイのコンピュータ製造現場の「悲惨な労働状況」を明らかにしたと発表した。
この調査の過程で、CAFODは上記3カ国の工場労働者と話し、危険な現場、強制的な残業、法定の最低基準を下回る賃金、そして多数の労働者が健康・年金・労働条件などの基本的な法的権利を奪われている例について、うんざりするほどたくさんの事例を聞きだしたという。
「現在の状況は容認しがたいものだ」と、CAFODの民間部門アナリスト、Katherine Astill。「各社の製品は最新のハイテクを具現化したものかもしれない。だが、コンピュータ工場での労働基準は恐ろしくひどい」 (Astill)
CAFODの考えでは、こういった状態を生み出す要因は、IT業界のなかで働く、より安い製品を提供するためのコスト削減へのプレッシャーだという。多数のメーカーが発展途上国へのアウトソーシングの形で事業の一部を移転しているが、それも賃金が非常に安く、需要の変化に合わせて労働者の雇用や解雇を行うのも簡単で、さらに組合に加入する者はほとんどいないからだ。
CAFODは、HP、IBM、Dellの各社を名指しで批判している。これらの企業の労働基準に関する行動規範を調査したところ、3社とも国連設定の基準に達していないことが分かったからだ。
とりわけIBMは、サプライヤーに対して、強制労働や未成年者による労働を禁じたり、過度の長時間労働の強要や、過酷または非人間的な扱いをすることを禁止する条項を規範に盛り込んでいない点を非難された。同社はまた、サプライヤーに最低生活賃金を支払わせることも怠ったという。
IBMはすでにこの報告に応え、報告された問題の一部に対して改善策を講じている。「IBMは長年、職場における差別に反対する強固な方針を掲げてきた。我々はサプライヤーと共に、この方針を強化していく」と、IBMは27日に発表した声明のなかで述べている。
さらに、「CAFODが、この問題に気付かせてくれたことに感謝している」とIBMは付け加えた。
CAFODが発表した実例のなかには、悲惨なものも見受けられる。たとえば、HPにプリンタを供給する外注メーカーで働いていた、Monicaという名の26歳の女性は、持ち物検査で全裸になるよう強制されたり、妊娠していないかどうかを調べる検査を受けさせられるなど、屈辱的な扱いを受けたと、CAFODとの面談のなかで語った。
また、CAFODによれば、こうした工場では妊娠していることが判った女性労働者は、即座に解雇される可能性が高いという。
これに関して、HPではそのような話は知らなかったと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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