コダックは1月22日、デジタルカメラの設計・製造を行うチノンを、同社の子会社であるコダックジャパン デジタルプロダクトディベロップメント(KJDPD)と合併させると発表した。チノンとKJDPDは同日、産業活力再生特別措置法の適用も受けている。23日よりKJDPDがチノンの普通株式の公開買い付け(TOB)を行い、全株式を取得。その後、KJDPDとチノンが6月をめどに合併する。買収金額は約32億円。存続会社はチノンとなる。
Eastman Kodak バイスプレジデント ワールドワイド デジタルカメラ・システム開発本部長 デジタルイメージング ジャパン事業部長の小島佑介氏 | |
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チノンはEastman Kodak向けにデジタルカメラの設計開発、および製造販売を行っている企業。現時点でコダックはチノンの発行済株式のうち、59.02%を所有している。コダックでは同社の研究開発センターとチノンの事業を合体させ、チノンを同社のR&D拠点とする方針。これによりデジタルカメラの開発効率を高め、部品調達コストや管理コストの削減を図る。
Eastman Kodak バイスプレジデント ワールドワイド デジタルカメラ・システム開発本部長 デジタルイメージング ジャパン事業部長の小島佑介氏は今回の発表について、「目的は意思決定のスピードを高めることにある」と話す。今までコダックとチノンの2つに分かれていた開発部隊を一元化することで、「市場の流れを即時に開発につなげる体制ができた」(小島氏)とした。人員の削減や生産拠点の整理統合などについては、「むしろ人員不足で、削減は考えていない。また、施設の売却などもない」(小島氏)という。
チノン代表取締役社長の長晋氏 | |
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今回の完全子会社化に伴い、チノンとKJDPDは産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画を経済産業省に提出し、認定された。産業活力再生特別措置法とは、企業が経営資源を中核事業に集中させるのを支援するために、税制上の特別措置などを認めたもの。「チノンは多角化を進めてきたが、自社の持つ設計・生産能力を生かすには中核事業に資源を集中させるのが生き残りの最善策だと判断した」(チノン代表取締役社長の長晋氏)
Eastman Kodakは米国のデジタルカメラ市場において、高いシェアを誇る。2004年1月にはフィルムカメラの販売を北米・欧州で終了するなど、デジタルカメラ事業へのシフトを進めている。小島氏によると、米国のデジタルカメラ市場における昨年のシェアは3本の指に入るといい、クリスマスシーズンにはトップシェアになったという。しかし日本では富士写真フイルムやソニー、キヤノンなどが強く、一時期は国内のデジタルカメラ市場から撤退していた。それでも昨年6月には国内市場に再参入すると発表し、今年前半には新製品を投入するとしている。ただし今回の発表の式上では、今後発売される予定の新製品については、一切明らかにされなかった。
KJDPDはチノンの株式を1株あたり350円で買い付ける。これは1月20日までの過去3カ月間の終値の単純平均額である279.5円に25.2%のプレミアムを加えた価格となる。公開買付期間は1月23日から2月26日まで。チノンは東京証券取引所第2部に上場しているが、KJDPDの完全子会社となるに伴い、上場を廃止する。
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