IBMをはじめとする複数の企業が、ウェブサービスアプリケーションのイベントを追跡する2つの仕様を提案した。Microsoftも2週間前に同様の提案を行っており、IBMの動きはこれに対立する可能性がある。
今回提案されたWS-NotificationsおよびWS-Resource Frameworkと呼ばれる新しい仕様が目指すのは、たとえば在庫が減少したり、サーバのハードウェアに障害が発生したなどのイベントが生じた際に、ビジネス用アプリケーションが自動的に対応できるようにするための、標準に基づいたプログラミング手法を提供することだ。
WS-Notificationの策定には、Akamai Technologies、グリッド標準化団体のGlobus Alliance、Hewlett-Packard(HP)、IBM、SAP、Sonic Software、そしてTibco Softwareなどが携わった。IBM、HP、およびGlobus Allianceは、WS-Resource Frameworkの策定でも協力した。この仕様は、ウェブサービスアプリケーション内での計算処理リソースのステータス伝達方法を記述するもの。
ウェブサービスは、数多くのメーカーから出されている各社独自のソフトウェアを橋渡しし、分散したシステムを結びつけるための標準的な方法を提供しようとするもの。IBMとMicrosoftは複数のウェブサービス標準で協力してきており、3年前には両社共通の開発計画を公表している。
だが今回は、業界を代表する両社の優先順位が異なる結果となってしまった。
IBMは「WS-Eventing」と呼ばれるMicrosoft主導の同様の取り組みには参加しないとの判断を下したが、それは同社がウェブサービス管理およびグリッドコンピューティング関連の今後登場してくる標準と、Webサービスのイベントメカニズムとがきちんと連動するよう確実を期したいと考えたためだと、IBMのダイナミックe-ビジネス技術担当ディレクター、Karla Norsworthyは説明している。IBM主導のグループはさらに、イベントメカニズムが統合用「ブローカー」の役目を果たすミドルウェアとも簡単に連動するような仕様も設計した。統合用「ブローカー」とは、データメッセージをネットワーク全体に送信する専用ミドルウェアを指す。
IBMとパートナー各社は、今後2〜3カ月以内にこの仕様を標準化団体に提出し、業界標準として採用するよう検討を求めると見られている。
IBMのNorsworthyは、「(ウェブサービスの)管理製品やグリッド技術を開発するコミュニティが、イベントやリソースの定義に関して独自の標準をつくるのを目にしたくなかった」と述べている。
IBMおよびMicrosoftの両方の取り組みに協力したTibcoによると、どちらのアプローチにもメリットがあるという。Tibcoのマーケティングディレクター、Larry Neumannによると、Tibcoではそれぞれのグループと協力して、技術的な差異の橋渡しをする予定だという。
Neumannによると、IBMのアプローチはグリッドやウェブサービス管理に関する標準を考慮した包括的なもので、一方のMicrosoftとパートナー各社が発表したものは実現がはるかに容易になっているという。
あるイベントモデルを使って、企業はデータを発行し、さまざまな相手にこれを提供できる。サーバベースの統合用ソフトは、メッセージを介してデータの配信を行う。
「最近まで、各メッセージングシステムは、イベントが発生した際にそれを告知するシステムに、独自のメカニズムを採用してきた。そのため、今後標準が定まれば、現在は互いにデータをやりとりできない、企業間、部署間、またシステム間でのメッセージ配信が、かなり容易になるだろう」と、ZapThinkのアナリスト、Ron Schmelzerは述べている。
IBM、Microsoftや他のパートナー各社はまもなく標準化団体に、reliable-messaging specificationを提出すると見られている。この仕様は、イベント発行メカニズムと連動するものだ。標準化団体OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)のある委員会では、すでにSun Microsystems、Oracleなどの各社が支持するreliable-messagingの仕様を検討中だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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