シンガポール発--シンガポールの経済はやっと回復に向かおうとしているところかもしれない。だが、超高級携帯電話機を扱うNokiaの子会社Vertuではすでに事業拡大に向けた準備を進めている。
Vertuは、2番めとなる新店舗を、シンガポール中心部のビジネス街のど真ん中に位置するショッピングモール、Raffles Cityのなかにオープンする。シンガポールには同社のアジア太平洋地区における旗艦店舗も存在するが、こちらは2002年10月、高級ショッピングモールのParagonのなかに開店したものだ。
Vertuは、ハイファッションの世界でニッチを切り拓くべく、1つひとつが手作りの豪華な、携帯電話を販売していることで最もよく知られた企業だ。同社の携帯電話は貴金属や宝石で飾られている。たとえば、ルビーやサファイアで装飾したモデルには3万米ドルの値段が付けられているが、ここに来てようやく景気回復の兆しを目にしつつあるほとんどのシンガポール人にとって、この価格は文字通り高嶺の花と言えそうだ。
シンガポール政府が先ごろ発表した統計によると、同国の経済は2003年第4四半期に、前年同期に比べて3.7%成長しているという。しかしこの第4四半期の好成長をもってしても2003年通期の経済成長率は0.8%と、2002年に記録した2.2%からは大きく下がっている。この経済の停滞は、主としてイラク戦争の反動とSARSの発生が原因で生じたもので、これらの出来事により、観光客が激減し、個人消費も大幅に減少した。
このような決してバラ色とは言い難い経済環境にもかかわらず、事業を拡大するVertuの動きに対して、複数の業界アナリストは取り立てて驚くべきことではないと述べている。
「高級品市場全体を見ると、経済の下降局面でも、こうした製品が驚くほど回復力に富んでいたことがわかる」と、市場調査会社IDCアジアパシフィックのシニアマネジャー、Bryan Maは述べている。「アジアでは、携帯電話機の購入・買い換えサイクルがとても短い。また携帯電話はステータスシンボルの役目も果たしており、特にシンガポールや香港といった市場ではその傾向が強く見られるので、それだけ潜在力もあるといえる」(Ma)
「高級電話機市場は、とてもニッチな小規模の市場で、懐具合のいい顧客が揃っている。台数はあまりはけないだろうが、数に限りがある製品のため、利益率は普通の携帯電話機と比べてかなり高い」と、Gartnerアジアパシフィックの主席アナリストであるFoong King Yewは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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