米RealNetworksは、今週中にもデジタル音楽販売市場に参入する。同社の計画に詳しい情報筋によると、同社は米Apple ComputerのiTuneに類似したダウンロードサービスを発表する予定だという。
RealNetworksは、1曲ごとのダウンロードが可能な新サービスを、今週ラスベガスで開かれるConsumer Electronics Show(CES)で発表すると見られている。iTuneミュージックストアおよび連動するジュークボックスソフトウェアで、WindowsとMacintosh両方のユーザーの人気を獲得したAppleに追いつくのが、Realの新サービスの狙い。これまで会員制サービスに重点を置いてきた同社は、2003年10月に、RhapsodyおよびRealOneの両音楽サービスで合わせて25万人の会員を獲得したと発表している。
情報筋によると、新サービスは競合するAppleのサービスが採用しているのと同じAAC(Advanced Audio Coding)フォーマットをベースとしたものとなるが、ただしDRM(Digital Rights Management)には同社独自のHelix技術を使うという。
Helix技術を採用することで、ダウンロードした音楽を再生できる音楽プレーヤーが限定されることになる。携帯型音楽プレーヤーの大半が、MP3と、MicrosoftのDRMしかサポートしていないからだ。だが複数のアナリストが、この市場はまだ新しく、各社の製品でRealNetworksの技術がサポートされる可能性は充分あると見ている。
「オンライン音楽サービスプロバイダ市場は、まだ発展の初期段階にある」と米IDCのアナリスト、Susan Kevorkian。「Realに勝算がないということはない。問題は、MP3プレーヤーのメーカー各社といかに連携し、各社がHelixをコスト効果が高い形でサポートできるようにするかだ」(Kevorkia)
今回のRealNetworksによる新サービスの発表は、オンライン音楽市場における分裂が進んでいることを示している。この市場は、さまざまな企業が互換性のないコピー防止メカニズムを採用しており、そのためにどのメカニズムをサポートするかは携帯型音楽プレーヤーごとに異なっている。
こうした携帯型プレーヤーで音楽を再生するためには、プレーヤーがその楽曲の音楽フォーマットを再生できるほか、違法コピー防止のために実装されているプロプライエタリなソフトウェアの鍵をデコードして外さなくてはならない。例えば、RealNetworksもiTunesも、同じAACフォーマットでエンコードされた楽曲を配信するが、AppleのiPodでは、AppleがHelix技術のライセンスを取得しない限り、Helixを用いて鍵を掛けられた楽曲を再生することはできない。
RealNetworksのほかにも、Apple、Microsoft、ソニーもそれぞれ独自のコピー防止技術で鍵を掛けた音楽を提供しているか、あるいは今後提供する予定だ。米Napster、米MusicNow、米Musicmatchを含む、現在オンラインで急増中の他の音楽ストアの多くは、Microsoftのデジタル音楽フォーマットを利用している。
しかしながら、RealNetworksが採用を決めたことで、AACフォーマットの勢いに弾みが付くことになる。AACを、Microsoft独自のWindows Media技術の対抗馬として捉えている人間は多い。
なお、HelixのDRM技術をサポートする計画があるという音楽プレーヤーメーカーはまだないが、近日中に複数のメーカーがサポートを表明するはずだと、情報筋は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス