米Sun Microsystemsは、3年前に20億ドル相当の株式交換で買収したサーバアプライアンスメーカー、米Cobalt Networksの製品を、自社のラインアップから一掃した。これにより、SunによるCobaltブランドのLinuxサーバの販売は完全に打ち切りとなる。ただし、x86サーバに搭載するRed Hat Linux OSとSuSE Linuxの再販は今後も続ける。Sunはデスクトップ向けのLinuxもSun Java Desktopの形で販売するが、独自のサーバ製品群にはもっぱらSolarisを搭載している。
Sunの関係者によると、同社は向こう3年間、セキュリティパッチの提供とCobalt製品の保証を継続するという。
Sunのウェブサイトでは、Cobalt製アプライアンスサーバの最新モデルである、デュアルプロセッサ構成のRaq 550が、Raq4Rなどと共に"販売停止製品"のセクションに加えられた。Sunの関係者によると、Raq 550の販売が完全に打ち切られるのは、2004年2月19日という。同ウェブサイトには、Cobalt製の新機種は一切掲載されておらず、現在Sunが扱っているエントリレベルサーバはSun Fireサーバシリーズのみとなっている。
SunによるCobalt製アプライアンスサーバ製品の販売打ち切りは、ドットコム時代の最も革新的なハードウェアメーカーだったCobaltの終焉を意味する。Cobalt Networksは、まだ新興企業だった1990年代末、特定用途専用のアプライアンスサーバの概念を、構築したとは言わないまでも、世間に普及させた。Cobaltは1998年3月、同社初の製品であるQubeを発売。この小型で使いやすいウェブ/メール専用サーバ/ゲートウェイは小規模企業向けに設計されていた。
だが、Cobaltの名をインターネットの歴史に刻みつけたのは、小型のラックマウント型サーバRaqの発売だった。ドットコムブームの最盛期、インターネットサービスプロバイダのキャビネットは独特な青色の"ピザボックス"で埋め尽くされた。同社の最高経営責任者(CEO)、Stephen DeWittは顧客を集めたカンファレンスの席上で、自動販売機を引き合いに出し、アプライアンスサーバの出現が企業のソフトウェアの購入方法にどのような大変革をもたらすかを説明した。
米IBMや米Dellを含む他のPCメーカーも同様の製品を発売したが、どこもCobaltの収めた成功には太刀打ちできなかった。そして、2000年にSunは20億ドルを投じて同社を買収したが、これはウェブサーバのホスティング市場では自社のローエンド向けサーバの売れ行きが芳しくないことをSunが暗に認めた結果だった。しかし、両社の合併は簡単には進まなかった。社風の違いやその衝突を理由にSunを辞めた元Cobaltのエンジニアもいた。また、Sunにとって、この買収は馴染みのないブランドを獲得したという以上の意味を持っていた。つまり、同社はCobalt買収を機に、初めてLinuxとx86プロセッサを組み合わせてつくった低価格のサーバを大量に販売する立場に置かれることとなった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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