米SCO、対Linux戦争で戦線拡大

 米SCO Groupは、LinuxのなかでUnixの知的財産が違法に使われていると主張し、このことから利益を得ようとする取り組みの一環として新たに複数の組織に照準を定めた。だが、同オペレーティングシステム(OS)を以前所有していた米Novellは、その著作権が依然として自社にあると主張している。

 SCOは先週、3000通に達するとされる書簡の第一陣を、Unixのライセンス供与を受けている企業や大学などの各機関に向けて送付し始めた。これらのほとんどは、同OSを開発し、後に売却した米AT&Tからライセンスを受けている。SCOはこれまで、法廷闘争の矛先を世界有数の大企業に限定していた。

 Gray、Cary、Ware & Freidenrichで知的財産を担当する弁護士のMark Radcliffeは、「同社は3000の新たな標的に向けて攻撃を開始した」と語った。

 この書簡はライセンシーに対し、自社の社員や請負業者が、Linuxに関する特定の8つの行動をとっていないことを30日以内に証明するよう求めている。ライセンシーが証明できない場合は、ライセンスの打ち切りを含め、「SCOはできる限りの法的手段に訴える」という。

 SCOの最高経営責任者(CEO)、Darl McBrideは米国時間22日に行われた電話会議で、「我々の取り組みのなかで、これは重点分野になる」と語っている。

 しかし、Weil、Gotshal & MangesのパートナーであるJeffrey Ostermanによると、このライセンス契約には限定的な監査権限についての記述しかなく、SCOは、Unixの動作するコンピュータやプロセッサの数といった基本的な部分を除き、自社が望むあらゆる情報を入手するのに苦労するかもしれないという。

 今回の動きは、SCOがIBMに対して起こした30億ドルを争う訴訟、IBMによる逆提訴、Linuxを販売する米Red Hatが可能な限り早期の事態解決に向けてSCOを相手に起こした別件の訴訟など、Linuxにとって騒がしい1年を締めくくるものとなった。

 これらの訴訟により、これまで文化的、技術的、そしてビジネス的な障害の克服にのみ集中してきたLinuxプロジェクトに、いちかばちかの訴訟合戦までが加わった。Linuxは、今日のコンピューティング業界において本格的な力を持つようになっている。米IDCによると、今年第3四半期における、Linux搭載サーバの売上は、前年同期比50%増の7億4300万ドルに達しているという。

Novellによる妨害

 Novellは、1995年にAT&TからUnixを購入し、後にこれをSCO Groupの前身に売却するまで、Unixの知的財産に関して少なくともその一部を所有していたことがあるが、その同社では、Unixの著作権所有を主張するSCOに異論を唱えている。同社広報担当のBruce Lowryが米国時間22日に語ったところによると、米国著作権局はSystem V Unixの11種類のバージョンの著作権登録をNovellに認めているという。

 Wineberg、Simmonds & Naritaの弁護士、David B. Moyerは、Linuxの販売で第2位の独SuSE Linux買収を進めるNovellが著作権を登録していることで、「NovellとSCOとの間で訴訟になるのはほぼ確実だ」と述べている。

 Radcliffeによると、Novellの動きはSCOによるUnixライセンス販売に関する取り組みを妨害する可能性があるという。SCOはこの計画で、たとえばシングルプロセッサ搭載サーバでのLinux使用に対して699ドルを徴収しようとしている。「両社は法廷に出て、自社に著作権があることを立証しなくてはならなくなった。これでLinuxユーザーにかかっていたプレッシャーがだいぶ少なくなった」(Radcliffe)

 1995年に行われたNovellからSCOへのUnix関連資産売却を巡って、1996年に加えられた訂正をSCOが明らかにすると、NovellはSCOが著作権の一部を所有していることを認めた。しかし、今年NovellからSCOに送付され、22日に明らかにされた8月4日付の書簡には、Novellの法律顧問であるJoseph LaSalaが「我々は、Unix System Vの著作権に関してSCOが主張する所有権に異議を唱える」と書かれている。

 やはりUnixの著作権を登録しているSCOは、Novellの行動に断固として異議を唱えている。Unixからの収益確保を目指すSCOsourceのトップ、Chris Sontagはインタビューに答え、「実際のところ、Novellは不適切、不正確、あるいは不正な申請書を著作権局に提出している」と語った。 

 Sontagはまた、Linuxユーザーが永久ライセンスの5分の1で1年分のライセンスを購入できる低料金のUnixライセンスプログラムを、SCOが提供開始したことも明らかにした。

 Radcliffeによると、この廉価版ライセンスでSCOの利益が一気に拡大する可能性があるという。「NovellやIBMにとって危険なのは、ユーザーがGPL(Linuxを管理し、同オープンソース哲学の核となっているGeneral Public License)にあまり関心を持っていないことだ。彼らにとって本当に関心があるのは、ソフトウェアを使い続けられるという確実な保証だ。SCOが十分に価格を下げてくれば、これを購入する顧客は確実に存在するだろう。(裁判は)先が見えないので毛嫌いされるのだ」(Radcliffe)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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