MasterCard Internationalは、消費者がより簡単にデビッドカードやクレジットカードを利用できる新技術を、2004年に全米で本格導入する予定だ。
PayPassと呼ばれる同社のシステムは、クレジットカードやデビッドカードを専用のリーダーに軽くあてるか、もしくはかざすだけで決済できるよう設計されている。これまでのように、カードを読み取り機に通し、サインをもらう必要はない。
MasterCardは決済処理の迅速化を目的に、この1年間、フロリダ州オーランドの小売業者と協力して同技術のテストを実施してきた。同社では、この技術が映画館、ガソリンスタンド、ファーストフード店などの迅速なサービスを行うビジネスで、現金での支払いに代わるシステムになることを期待している。
あるアナリストは、MasterCardのこの動きが新技術の導入を促すと指摘する。米American Expressでも同様の取り組みを行っており、米国ではこの1、2年間でいわゆる非接触型決済が主流になると予測している。ちなみに欧州では非接触型決済が米国よりも普及しているという。
PayPassカードには特別なマイクロチップが搭載されており、RFID(Radio Frequency Identification)を用いてアカウント情報を無線で送信する。RFIDは、米Wal-Mart Storesや米国防総省が在庫や補給品の追跡に利用を検討している技術だ。
American Expressが開発した同様の決済システムはExpressPayと呼ばれるもので、カードの代わりにキーチェインフォッブを利用する。
なお、PayPassの米国本格導入には曖昧な部分もある。MasterCard幹部は、同システムに参加する小売業者やカード発行会社を明らかにしていない他、オーランドに続き、他のどの地域を最初のターゲットにするか言明を避けている。オーランドで実施したトライアルでは、米Citibank、米Chase Bank、米MBNAと協力し、1万6000人以上のPayPass入りクレジットカードを発行した。
同トライアルには米Chevron、米Eckerdドラッグストア、米McDonald's、米Loews Universal Cineplexなどの企業が参加しており、専用のPayPassリーダーを1機につき数百ドルで購入している。
MasterCard のバイスプレジデントMurdo Munroは、PayPassの全米展開について、同サービスの本格普及に必要な利用者および利用可能店舗を獲得することが目標だと述べている。
しかし、オーランドでの実験を見る限り、MasterCardは古典的な「ニワトリが先か卵が先か」というジレンマに直面するだろう。消費者は、小売業者が同システムをサポートしない限りPayPassに興味を示さない。一方で小売業者は、利用者が増えない限りPayPass機材を導入したがらない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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