カリフォルニア州パロアルト発--Wi-Fiチップを開発する新興企業にとって、成功へとつながる道は複合型チップで舗装されているのかもしれない。
今週当地で開催されているMicro Venturesカンファレンスで、幾人かの企業幹部が語ったところによれば、米Sychipやその他のWi-Fi半導体メーカは、無線機能を単一チップに統合・パッケージ化することで、顧客を獲得しようとしているという。
多くのベンチャーキャピタリストやアナリストは、新興Wi-Fi企業に対する投資への熱意を失っているが、これらの新興企業の幹部はビジネスチャンスがまだ存在していると主張している。
一例を挙げると、テキサス州プレーノーのSychipは、Wi-Fiモジュールと短距離ワイヤレスネットワークテクノロジーのBluetoothを組み合わせた製品のサンプルを製造している。
同社では来年早々、Wi-Fiモジュールとフラッシュメモリチップを搭載したSecure Digital(SD)カードを発表することになっている。Sychipは、SDスロット用のWi-Fiカードをすでに製造しているが、ユーザーが写真を撮る際には、メモリカードを入換えなければならない。つまり、新しいWi-Fiメモリカードは1枚で、これまでのカード2枚分の役割を果たすことになる。
「ユーザーは、これらの携帯端末が可能な限り小さくなって欲しいと思っている」と、Sychip最高経営責任者(CEO)のGeorge Barberは述べている。
オンタリオ州ワーテルローのカナダ企業Sirific Wirelessは、2.5Gの携帯通信とWi-Fiの機能を併せ持つチップのサンプルの生産に取りかかっている。同社によれば、さまざまな携帯電話とワイヤレス規格を組み合わせたチップが、もうすぐ完成するという。
「1つの無線チップで、さまざまな帯域にわたって通信できるようになる」と、Sirific最高経営責任者(CEO)のMichael Hoganは述べた。
統合へ向けた積極的な動きは、コストとデバイスのサイズを減らす手段として考えられているが、米Intelや米Broadcomのような大手半導体メーカの開発部門でも同様の動きが見られる。チップが1つであれば、コストが少なくて済み、収める場所もとらない。
ワイヤレス周波数の種類が増えるにつれ、通信事業者は、多機能電話やマルチバンドサービスに積極的に取り組むようになっている。米AT&Tでは、すでにWi-Fiと携帯を組み合わせた利用プランを提供している。
この市場はBroadcomのような大手のWi-Fiチップメーカーに今後も支配されていくだろうが、新興企業の一部も契約を獲得している。米Dellは、同社初のWi-Fi携帯端末にSychipのモジュールを搭載しているし、SonyはClie携帯端末の1つで類似の製品を採用している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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