米IBMの従業員が、製造工場で有害な薬物中毒に罹ったことに関し、同社の責任を追求している重要な裁判で、今週原告側弁護団の弁論が始まる。
IBMのハードディスク製造工場に勤務したために衰弱性のガンに罹った前従業員のAlida HernandezとJames Mooreは、同社が危険性を察知していたはずで、また日常業務で化学薬品にさらされることの危険性について従業員に警告すべきであったと主張している。カリフォルニア州サンノゼの上級裁判所で、陪審裁判に持ち込まれ、米国時間4日に冒頭陳述が行われるこの訴訟は、IBMを相手取って起こされた200件を超える訴訟の第1弾となる。
この訴訟の結果は、同社を相手取った他の多くの訴訟や、米National Semiconductorをはじめとする他のチップメーカーを相手取った同様の訴訟に影響を及ぼすと見られている。加えて、IBMに対する評決は、さらなる訴訟への道を開くことになるかもしれない。訴訟対象となっている多くの製造プロセスや化学薬品の使用は段階的に廃止されてきたが、IBMが負けることになれば、クリーンで健康を重視しているという、ハイテク業界に対する世間のイメージは大きく変わるだろう。
「今回の訴訟は、厄介な問題を抱えており、これがきっかけとなって、その問題が広まる可能性がある」と、半導体業界を専門とする米IDCアナリストRoger Kayは述べている。「この訴訟によって、単にIBMに対してだけでなく、同様の事業を展開している他のメーカーに対しても、数多くの訴訟が起こされる可能性がある。今回の訴訟に勢いがつけば、他に多くの企業が訴訟のターゲットとなるだろう」(Kay)
今回の訴訟の争点は、IBM従業員がハードディスク製造工場で仕事をしたことで被害を被ったかどうかではなく、IBMが従業員に、有害な化学薬品にさらされていることを警告すべきであったかどうかという、より狭い課題が争点となっている。
労災に関する法律は、狭義に解釈される傾向がある。つまり、今回の場合IBMが個々の従業員について問題があったことを知っていたはずだ、ということを証明しなければならない。
IBMの関係者は、訴訟の具体的な内容についてはコメントを避けたが、しかし同社はこれまで、従業員に対して重大な健康問題を隠しはしなかったと、法廷で主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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