日本IBMは10月28日、電磁界解析シミュレーションのグリッドコンピューティング対応実験に「世界で初めて」(同社)成功し、解析精度の向上と解析時間の大幅な短縮、解析の大規模化を実現できたと発表した。今後同社は日本総合研究所と共同で、日本総研の電磁界解析ソフトウェア、JMAGへのグリッド技術適用を進めるとする。
両社はこの協業により、「より実践的で、より詳細な解析結果を導く大規模な電波状態のシミュレーションが可能になる」とみている。「例えば、自動車のどこにアンテナを立てるとより強力で安定した電波を受信できるかなどを解析する自動車アンテナ解析において、現行手法では行えなかった詳細で正確な電波分布の解析が可能になる」(日本IBM)。ちなみにIBMが実験したところ、Windows環境だと3日以上必要だった大規模な計算処理が、UNIXサーバ、IBM pSeriesは数10秒で解析したという。
JMAGなど有限要素法を利用する電磁界解析ソフトウェアの多くは、基本プラットフォームが1個のプロセッサでしか処理できない。そのため、100万個以上の要素を持つ複雑な形状の物体を対象とする場合、膨大な計算時間がかかる上、高精度な解析が行えないという問題があった。
日本総研と日本IBMは、IBMワトソン研究所の開発した演算ライブラリ、Watson疎行列パッケージ(WSMP:Watson Sparse Matrix Package)をJMAGに適用することで、「高速処理化、高精度解析、より大規模モデルの解析に成功した」(日本IBM)。IBM pSeries(OSはAIX)で実施した試験では100万要素を超える解析に成功し、さらに規模の大きな処理に取り組んでいるという。
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