「本が売れなくなる」:米アマゾンの全頁検索に米作家団体が反発

 米国の作家団体Authors Guildは、会員の作家たちに、自分の作品を米Amazon.comの新全文検索ツールで表示させないよう勧めている。

 Authors Guildは24日(米国時間)に会員に送った電子メールのなかで、料理本や、辞書などの参考図書のように、書籍のタイプによってはAmazonの検索ツールの所為で売上が落ち込む恐れがあるとし、一部の作家に対して、このサービスから自分の著作を削除した方がよいと勧告した。また同団体は、出版社と著者との契約では、出版社が著者の許可なくこのサービスに参加することは認められていないという議論も展開している。

 「Search Inside the Book」と呼ばれる新サービスは、キーワードを入力すると、その単語を含む全ページと書籍のタイトルが検索結果として表示されるというもの。これまでは、著者名、タイトル、キーワードのいずれかからしか検索できなかった。この新しいサービスでは、190の出版社から刊行されている書籍、およそ12万冊の検索が可能で、検索可能なページ数は約3300万ページに及ぶ。

 Authors Guildは、古い本や、あまり注目を集めていない本はこのサービスの恩恵を受けるかもしれないが、その他の本の価値が損なわれると述べている。「参考図書の大半は、こうしたデータベースによって間違いなく危険に晒される。(ほぼ全てといわないまでも)多くの旅行ガイドブックや料理本もそうだ」と同団体は忠告している。

 Guildの話では、このサービスに関する問題の1つは、検索ツールによってユーザーが見られる情報に、十分厳格な制限がないことだという。「1冊の分厚い本の中身を、100ページ以上連続して見ることが、(やや不便ながらも)非常に簡単にできてしまう。したがって、このツールを使えば、料理本の魚料理のレシピや、旅行ガイドブックのトスカーナ地方の部分を、全てプリントアウトすることも可能なのだ」(Authors Guild)

 学生は、やる気になれば、教科書を何百ページもプリントアウトするだろう、と同団体は警告している。

 Authors Guildでは、出版社がこのサービスに書籍を載せるには、著者の同意が必要だと主張。一方、出版社側ではその必要はないと意見を異にしている。「出版契約についての我々の解釈に、ほとんどの出版社が反論している。しかし、なかには、著者の要求があれば作品を検索プログラムから除外するというところもある」(Authors Guild)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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