日立製作所(庄山悦彦社長)と日本図書館協会(竹内?理事長)およびギャガ・クロスメディア・マーケティング(小林光社長)は10月16日、デジタルコンテンツ配信サービス分野において業務提携し、全国公共図書館、大学・高専図書館に向けて、図書館で新たに収蔵する映像資料をデジタルデータ化してインターネットで配信するサービス「ELIB(エリブ)」を04年4月からスタートすると発表した。
現在多くの図書館では映像資料をレーザーディスク、ビデオテープ、DVDなどパッケージの形態で収蔵している。このため、図書館利用者への貸し出しや館内での配信、上映会といった図書館業務において、メディアフォーマットの違いやメディアごとに設定されている著作権上の制約が障壁となり、映像資料を多目的かつシームレスに活用することは困難だった。
新サービスでは、映画や記録映像、学習教材などの映像コンテンツをMPEG2形式のデジタルデータに変換し、新サービスの加入図書館に配信する。変換されたデジタルデータを図書館がダウンロードしてDVDやサーバーなどにコピーすることで、貸出、保存、館内LANによる視聴、上映会など、図書館活動全般にシームレスに活用することが可能となる。
配信する個々の映像コンテンツには、あらかじめ図書館がコピーして多目的に利用できるように著作権上の処理を行うとともに、新サービス事業における一連の利用方法に対する著作者側の権利保護のため、新しいデータプロテクト技術「ソフト電池」を採用する。この技術は、配信するデジタルデータに対してソフト上の特殊な鍵を施し、ルール外のコピーや一度コピーしたデータからの再コピーができないように制御するもの。
配信する映像コンテンツは、劇映画の新作や旧名作映画、アニメ、ドキュメンタリー、趣味・教養、学習教材など多岐にわたり、04年4月のスタート時には約300タイトルを準備し、以後毎月約40タイトルを追加していく予定。これらの映像コンテンツは、ギャガ・クロスメディアを通じてコンテンツホルダーから提供されるタイトルに加え、日立の所有または保管する旧岩波映画約4000タイトルも含まれる。
なお、配信サーバーおよびデジタルデータの運営・管理を日立が、図書館との窓口を日本図書館協会が行い、共同で会員加入募集や問合せ対応などのサービスにあたる。また、コンテンツラインアップの編成は、ギャガ・クロスメディアの協力のもと、日本図書館協会が行う。
日立では、新サービス事業を起点として、将来は地域文化・史跡、民間企業の保有技術・環境への取り組みなどについての映像制作、アーカイビングおよび全国図書館への配信、さらには海外図書館との連携による図書資料・映像資料の交流、図書館を拠点としたユビキタス・ラーニングなどへと事業を展開していく考え。
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