楽天の株価は、8日に一時年初来高値60万円をつけるなど相変わらずの堅調ぶりをみせている。同社の発行済み株式数は100万株強で、時価総額は5000億円を上回った。わずかここ1カ月で株価が2倍にハネ上がった楽天に、さらなる株価大化け説が市場の一部でささやかれている。その真贋を探った。
それまでほぼ30万円水準という、比較的おとなしい値動きで推移していた楽天の株価が急上昇するきっかけとなったのは、なんといっても9月4日にインターネット上の宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネットを日立造船から323億円で取得すると発表したことにある。
外国証券アナリストは、「インターネット宿泊予約サイト国内最大手のマイトリップ・ネットの買収に踏み切ったことで、同社はこれまでの単なる“仮想商店街楽天市場の運営”という限定されたイメージから脱皮して、ヤフーと対抗できる可能性のある唯一の総合ネット関連企業だという期待感が株価上昇につがったようだ」という。楽天の業績見通しは、今12月期の連結経常利益が過去最高益となる44億円(前期比96%増)。そして、来期の連結経常利益も72億円(今期見込み比63%増)と大幅増益が見込まれているものの、「これまでは中期的な観点から2005年12月期で成長が減速するとの懸念があったのも確か。ところが、マイトリップ・ネットの買収で成長ドライバーを手に入れ、2005年度以降も成長の可能性が大きくなってきた」との見方が一般的のようだ。
また、ヤフーの東証1部上場に伴って、「ジャスダック市場の代表銘柄としての位置付けがさらに強まり、指標銘柄のプレミアムも加わって、国内外の機関投資家からの買いが継続的に見込まれる」(市場関係者)との思惑も働いているようだ。確かに、ヤフーが東証への上場申請を行ったと発表した直後7月18日現在のジャスダック市場の時価総額上位銘柄は、2位アルゼ2654億円、3位日本マクドナルドホールディングス2566億円、4位楽天2080億円となっていた。ところが、10月8日現在の時価総額ランキングを見ると、3兆円を超えた1位のヤフーは別にしても、2位の地位が確定している楽天が5457億円に達し、3位のシチズン電子の2654億円を大きく引き離している。現在の機関投資家の投資手法では、「時価総額に比例して株式数を組み入れる」というスタンスが基本中の基本となっており、時価総額が拡大すること自体がまた新たな買い支援材料になるという好循環となる傾向がみられる。
さらに、ここにきての新たな支援材料として「9日に新規上場して人気を集めている価格比較サイトを運営するカカクコムの類似銘柄としての評価がプラスされ、買いが継続している側面もある」(中堅証券・IPO担当)との見方も浮上している。
こうした様々な買い材料はあるものの、結局は「2002年6月に実施した1株を10株にするような、大幅な株式分割を期待する雰囲気が水面下に広がっていることが最大の支援材料」という見方があるのも確かだ。
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