本社フォーラム:グーグル、アマゾン、マクロメディアが講演

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年10月01日 00時20分

 CNET Japanでは9月30日、「CNET Japanフォーラム テクノロジー・ビジネス・トレンド2004」と題したセミナーを都内で開催した。京都大学経済学部助教授の末松千尋氏、グーグル代表取締役社長の村上憲郎氏、米Amazon.com Technical Evangelist, Associates TechnologyのJeff Barr氏、マクロメディアCTOの田中章雄氏が登場し、現在のハイテク業界のトレンドについて講演が行われた。

 まず、京都大学の末松氏が基調講演に立ち、オープン水平分業時代における企業戦略のあり方について講演した。末松氏は社会がIT化し、潜在的な資源がネットワークでつながっている現在では、ビジネスにもオープンな考え方が求められていると指摘する。従来の閉鎖的な限られた関係ではなく、ネットワークでつながった数多くの参加者と「広いお付き合いをする」という意識を持つべきだというのだ。

 この意識を日本で最もうまく取り入れているのが、京都に本社を置く「京様式企業」たちだ。京セラ、ローム、日本電産などの京様式企業10社とソニー、松下など日本を代表するメーカー7社の業績を比較すると、京様式企業のほうが圧倒的に業績が好調だと末松氏は紹介する。例えば過去10年間の売上高営業利益率を見ると、メーカー7社の平均が2〜4%であるのに対し、京様式企業10社の平均は10〜17%に上る。末松氏はこれらの京様式企業の特徴として、1つの特化技術を大事にし、大企業の系列から脱却し自立している点を挙げ、世界の競争原理の中で戦うためにオープン水平分業を取り入れたことが、現在の好業績につながっていると分析した。

日本語検索の75%を占めるグーグル

京都大学経済学部助教授の末松千尋氏(左)とグーグル代表取締役社長の村上憲郎氏(右)

 この水平分業時代で競争に勝ち残るために、企業はどのような手法を取ればよいのだろうか。1つのヒントとなるのが、グーグルの手法だろう。グーグルは自社のシステムを企業に納入して収益を得るビジネスモデルを構築している。その1つが他社のポータルにもエンジンを提供する方法だ。この方法により、グーグルは検索エンジンの世界で圧倒的な地位を確立している。グーグルの村上氏によると、世界で行われている検索のうち、40%近くがGoogleを利用したものだという。さらに日本語検索に限れば、その数値は75%にもなるという。

 さらにグーグルは、Googleの検索エンジンを積んだLinuxサーバを企業に納入し、企業サイト内の検索システムを提供するサーチアプライアンスといった事業も行っている。このサービスは米国で始まったものだが、村上氏によるとすでに国内でも導入事例が出ているという。

Office Word 2003でAmazonの検索機能が利用可能に

 一方Amazon.comはAmazon Webサービスというアプリケーションを開発し、無償で利用者に配布するという方法をとっている。Amazonのサイトの機能やデータベースを、SOAPまたはXMLを使用してサードパーティに提供することで、他のウェブサイトを経由したトラフィックや売上の増加を狙う。データの形式をSOAPやXMLにすることで、開発者がサイトを自由にカスタマイズできるといったメリットがある。また、一般に広く公開することで、Amazonのテクノロジー投資をウェブ全体で有効利用できるとAmazonのBarr氏は説明する。

 さらにBarr氏によると、MicrosoftのOffice Word 2003にはAmazonを利用した検索機能が追加されるという。これによりWordから直接Amazonで買い物ができたり、Amazonの書評データなどをコピー&ペーストして活用できるようになると紹介した。

最も普及しているビデオプレーヤーはFlashだった

 マクロメディアの田中氏は、同社のグラフィックスアプリケーションであるFlashについて講演した。現在FlashはPCだけでなく、NTTドコモの505iシリーズなど様々な端末に搭載されている。この背景には、Flashが画像を数式で表すベクターグラフィックスという手法を採用していること挙げられる。ベクターグラフィックスであれば軽量のデータで画像を表せるうえ、画面のリサイズが簡単だからだ。PC以外では画面の規格が統一されていないため、様々な端末に対応できるFlashが求められているのだという。

米Amazon.com Technical Evangelist, Associates TechnologyのJeff Barr氏(左)とマクロメディアCTOの田中章雄氏(右)

 さらに田中氏は、ビデオプレーヤーとして世界で最も普及しているのが、実はFlash Playerだと紹介する。米調査会社NPD Groupの一部門であるNPD online researchの調査によれば、Windows Media Playerのシェアが63%、Real Playerが52%であるのに対し、Flashのシェアは98%。ただしFlashの場合、ブランドを全面に押し出していないため、ユーザーが気づいていない場合が多いのだという。

 その他、田中氏はインタラクティブ広告の事例やFlashで作られたテレビアニメなど様々なデモを行いながら、Flashの表現力を紹介。先日発表されたFlash Player 7では毎秒30フレームというテレビとほぼ同じ性能が実現したと語り、今後はブロードバンド時代が来たとユーザーが実感する世界ができると自信を見せた。

本フォーラムの講演内容の詳細は、後日CNET Japan上で掲載されます。

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