インテルは9月25日、「インテル e-ビジネス・コンピューティング アップデート ミーティング」を開催し、ビジネスコンピューティングの現状や、米国で開催されたIntel Developer Forum(IDF)の最新情報などの紹介を行った。このアップデートミーティングは、四半期に1度開催される記者説明会だ。
まず、プラットフォーム&ソリューションズマーケティング本部長の町田栄作氏がビジネスコンピューティング市場の現状を説明した。2003年度の主な成長分野は、企業向けのPC需要を喚起したコーポレートクライアント分野、Centrinoに代表されるワイヤレス・モバイル・コンピューティング分野、XeonプロセッサやItaniumプロセッサなどの生産ラインを拡充したエンタープライス分野など。特にCentrinoテクノロジーをコアとするモバイル分野では、アクセスポイントを提供するハードウェアベンダー、VPNやファイヤウォールなどのセキュリティソリューション、ホットスポットなどのロケーション、サービスプロバイダ、そしてシステムインテグレータらと密接な関係を築いたモバイル・エコシステムの充実が挙げられる。
インテル プラットフォーム&ソリューションズマーケティング本部長、町田栄作氏 | |
また、インテルアーキテクチャサーバも着実に成長しており、ガートナーの調査によれば2003年にインテルベースサーバは売上ベースにおいて、初めてRISCサーバを上回ると予測されている。「顧客のITにおけるニーズはコスト」と町田氏は語り、「収益性の向上とコスト削減というビジネス要件に対して、パフォーマンスの向上と低消費電力化を並行して提供していきたい」とコメントしている。
次に、プラットフォーム&ソリューションズマーケティング本部の廣田洋一氏が、IDFで発表された主な項目のアップデートを行った。Itaniumプロセッサファミリーのエンドユーザにおける導入は好調。IDFでは、2006年に複数のコアを備えた64ビットプロセッサとなるコードネーム「Tanglewood」が発表された。Tanglewoodは旧Alphaチームと共同で開発されているという。Itaniumプロセッサは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野において強い支持を集めており、日本でも産業技術総合研究所が64ビットクラスターを来年から稼動させる予定になっている。
一方、32ビットプロセッサとなるXeonプロセッサMPのロードマップも公開され、次世代プラットフォームで稼動するデュアルコアプロセッサであるコードネーム「Tulsa」が発表された。同時に新チップセットも投入される予定で、廣田氏は「トップからボトムまでインテル製品を利用可能になる。インテルとしては適所適材でプロセッサを提供したい」と語る。ボリュームプラットフォーム分野においても更に高速なXeonプロセッサを年内に投入する予定で、2004年上半期にはより高速なバスを採用したコードネーム「Nocona」、更にその後継となるコードネーム「Jayhawk」などが発表されている。
チップセットに関しても、XeonプロセッサMP用のコードネーム「Twin Castle」、DPサーバー向けの「Lindenhurst」「Lindenhurst VS」、ワークステーションむけの「Tumwater」などが発表されている。廣田氏は、「2006年までのロードマップを公表することで、ユーザーに対して安心感を提供することができる。今後は、ボトルネックになりうる技術の標準化が必要となってきている」とまとめる。
IDFでは、PCI Expressシリコンのデモが実施された。30社以上がPCI Expressゾーンに出展し、主要なエンタープライズハードウェアメーカーがPCI Expressに対応したアダプタやソリューションを展示したという。インテルでは2004年以降に投入される全製品においてPCI Expressに完全対応する予定で、「新しいバス規格の標準化および商品の投入が現在の課題」(廣田氏)ということだ。
無線LAN普及はセキュリティがカギ
最後に、通信営業本部 Wireless LAN製品&システムズ・プロダクト・マネージャーの梅野光氏が、Centrinoモバイルテクノロジーの無線LANセキュリティ対応状況を紹介した。梅野氏によれば、企業での無線LAN導入に向けての意思決定で最も重要視されるのが強固なセキュリティ対策だという。また、無線LANセキュリティの中でも外部からの不正アクセスやセキュリティ標準の革新などが関心の高い項目として挙げられるという。
Centrinoモバイルテクノロジーは、ハードウェアであるIntel PRO/Wireless LAN 2100 3B mini PCI Adopterと、ソフトウェアであるIntel PRO/Wireless Network Connection Softwareで構成される。今回、ソフトウェアがアップデートされ、バージョンが7.1となった。新バージョンでは、セキュリティ機能の向上が図られたほか、コードの最適化やプラットフォームでの検証、802.11a/bデュアルバンド対応になる予定のバージョン7.2との互換性が確保された。
シスコシステムズ マーケティング部アドバンストテクノロジー ワイヤレスネットワーク部長、大金日出夫氏 | |
無線LANセキュリティ機能の向上では、業界標準仕様であるWPAへの対応が図られた。具体的には、802.1X認証の認証方式であるEAP-TLS、EAP-TTLS、PEAPなどへの対応や、TKIPによる動的暗号化などが図られている。また、シスコシステムズが提供するCisco Compatible Extensions ver 1.0(CCX)への対応も行われている。これにより、LEAPやCKIPなどの拡張セキュリティや、ステルスモードの適用、不正アクセスポイントの検出およびレポート機能、VLAN機能などが確保されている。
ゲストスピーカーとして登場したシスコシステムズ マーケティング部アドバンストテクノロジー ワイヤレスネットワーク部長の大金日出夫氏によれば、CCXとはCisco Aironetの主要技術を無償でライセンス供与するプログラムだ。大金氏は、「今後は、無線LAN部分も組み込み型になってくる。また一層のセキュリティの強化も必須だ。そこを保障するものとしてCCXが存在する」とコメント。第三者機関として設立した検証ラボを通じて、モバイル端末とCisco Aironet基盤との相互接続性が検証されている。「Wi-Fiなどの業界標準にCiscoが保有するデファクトスタンダードの技術をプラスアルファとして保障するのがCCX」(大金氏)とのことだ。
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