「マイクロソフトの支配が、国家安全保障の脅威に」:米業界団体報告書

 米Microsoftに批判的なあるコンピュータ業界団体は、主要技術における同社の支配的立場が、国家インフラに脅威を及ぼしていると主張する報告書を、24日(米国時間)に発表する予定だ。

 CNET News.comが入手した草稿によると、Computer and Communications Industry Association(CCIA)が発表するこの報告書は、圧倒的多数のコンピュータシステムがWindowsオペレーティングシステム(OS)などの単一の技術に依存している状態が、米国の経済や非常に重要な社会基盤の安全を脅かしている、と論じている。

 この報告書は、3人のセキュリティ専門家が作成したものだが、Microsoftが計画しているセキュリティ面の改良点については、その多くが、顧客による他のOSへの切り替えをますます困難にするよう設計されている可能性が高い、とも警告している。

 「(Microsoftは)セキュリティ面の改良を装って、実は顧客を拘束しようとしている」と記すのは、著者の1人で、ネットワーク監視サービス会社米Counterpane Internet Securityの最高技術責任者(CTO)を務めるBruce Schneier。「同社は、独占状態をさらに押し進めるために、セキュリティ技術を使っている」

 この報告書は24日に、CCIAが開く「2003 Washington Caucus」のなかで、米議会の主要メンバーや政府官僚に手渡される、と同会議の日程表には記されている。

 この報告書はCCIAによる最新のMicrosoft批判だが、CCIAの考えについては、今までセキュリティコミュニティで主張したことはあったものの、議員向けにこれを概説するのは初めてのことかもしれない。

 CCIAは米America Onlineや米Oracle、米Sun Microsystemsなどが参加する団体で、以前からMicrosoftに批判的だ。先月、米国土安全保障省が、同省のデスクトップ14万台にMicrosoftのソフトウェアを採用することを発表すると、CCIAは同省に再検討を求める公開書簡を送った。またCCIAは、Open Source and Industry Allianceを設立し、Linuxなどのオープンソースソフトウェアを推進する一方で、デジタルミレニアム著作権法などの制限的な法律に反対している。

 今回発表する報告書の草稿では、米国の経済・産業が、重要な機能をますますインターネットとコンピュータに依存するようになっており、Microsoftが自社製品の安全性を確保できていないという問題と、そうした(安全とは言い切れない)技術が遍く普及していることが、米国の経済・産業に危険を及ぼしている、と主張している。

 同報告書は米国政府に対し、Microsoftに同社製品のコードに含まれる主要な機能コンポーネントへのインターフェース仕様を公開させること、ならびに他の企業がより安全な技術で競合できるよう、相互運用性のあるコンポーネントのサポートを改善すること、そして業界の標準化団体やコンソーシアムを通じて仕様を制定することを薦めている。

 この報告書はまた、Microsoftがセキュリティを材料に、一般ユーザーを自社の技術に縛り付けている点を非難し、同社が今後もそうし続けるならば、セキュリティ上の脅威から生じる全ての被害の責任を同社に取らせるよう薦めている。

 また、報告書の起草者らは、連邦政府に対して、論議を巻き起こしている「next-generation secure computing base」(旧名「Palladium」)など、今後Microsoftが出す技術に、これ以上消費者を束縛させないよう要求している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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