デルコンピュータと日本オラクルは18日、両社のパートナーシップを強化し、共同営業体制を確立すると発表した。今回の協業で両社は、共同販売体制を敷くとともに、デルサーバとオラクル製品のパッケージ製品を提供、サポート窓口も一本化する。
今回のパートナーシップ強化の背景には、デルが推進しているスケールアウト戦略を強化するというねらいがある。スケールアウトとは、これまでのIT投資で主に考えられていたスケールアップに対する新しい方法で、「従来はメーカーの独自技術で構築された大規模で高価なシステムへの投資が中心だったが、これはビジネスサイズに合わないだけでなく、メンテナンスや手間もかかるものであった。そこでデルが推奨するのは、業界標準のIAサーバを採用し、ビジネスの成長に合わせてサーバを徐々に追加していく“スケールアウト”という考え方だ」と、デルコンピュータ代表取締役社長の浜田宏氏は説明する。同氏は、IAサーバを並列接続することで、大型サーバに匹敵する能力を持つことが可能だという。
デルコンピュータ代表取締役社長の浜田宏氏(左)と、日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏 | |
浜田氏は、デルで業界標準として扱っているWindowsベースのIA 2ウェイサーバと、従来のハイエンドRISC/UNIXサーバを比較した場合、IAサーバは42%速く、83%価格を抑えることが可能で、Linuxベースの4ウェイサーバとRISC/UNIXとの比較では、IAサーバが89%速く、39%安価だと主張する。現在デルは、IAサーバ市場において国内2位のシェアを握っている。
今回のパートナーシップ強化で、デルはオラクルの得意とするエンタープライズ市場でのシェア拡大をねらう。オラクルにとっても、IAサーバ市場における同社製品のシェア拡大が見込めるとともに、デルの直販モデルをうまく生かしたいという考えだ。
オラクルは7月1日に、電話とインターネットで営業活動を行う「OracleDirect東京センター」を開設したばかり。OracleDirectは「近々100人体制で100億円規模のビジネスに成長させる」(日本オラクル代表取締役社長、新宅正明氏)というほど同社が力を入れているものだが、今回の協業でOracleDirectのスタッフ数人がデルの法人営業部門に常駐することになる。オラクルはこれまでの代理店販売モデルを維持しつつ、デルの直販体制を生かし、Oracle 9i RAC等の大規模案件も共同で顧客に提案する。なお、ライセンスはこれまで通りオラクルのパートナーより販売される。
今回の発表と同時に両社は、デルのサーバおよびストレージ製品と、オラクルのソフトウェアおよび導入支援サービスを組み合わせたソリューションパッケージの提供を開始する。その第一弾となるのが本日発売されたOracle 9i Databaseのソリューションパッケージ(最小構成で約80万円)だ。今後Oracle 9i Application Serverパッケージを11月頃に、Oracle Collaboration Suiteパッケージを12月頃に、E-Business Suiteパッケージ(Oracle NeO)を来年発売開始する予定だという。
なお、両社は将来的に、先週米国で発表されたばかりの新データベース、Oracle 10gも含めた製品群でソリューションを展開していくことを示唆している。Oracle 10gの日本での発表は10月になるとのことだ。
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