「恩赦」プログラムを巡って、逆に訴えれらたRIAA

 RIAA(全米レコード協会)は、違法に音楽ファイルを交換していたとされる大勢のネットユーザーを訴えた翌日、今度は自らの提案していた「恩赦」プログラムを巡って、訴訟のターゲットにされてしまった。

 カリフォルニア州在住のEric Parkeは米国時間月9日、同州住民一般の代理として、 RIAAを提訴した。同協会が8日に発表した「Clean Slate」(白紙撤回)プログラムという暫定保護措置を巡り、カリフォルニア州マリン群上級裁判所に提出された訴状には、提訴の理由として、このプログラムが誤解を招く、詐欺的な商行為であると記されている。「Clean Slate」プログラムは、違法なファイル交換を行っていたユーザーが、自らそのことを申し出ると同時に、入手した楽曲をすべて破棄することで、訴訟を回避できるというもの。

 Parkeは訴状の中で、「(このプログラムは、)一般大衆に自らの罪を認めさせ、RIAAをはじめとする著作権者側に対し、違反すれば偽証罪に問うという条件で過去に行った違法なファイル交換の事実についての起訴可能な自白をさせる一方で、RIAA側は法的拘束力のある一切の請求権放棄を行わないという(大変不公平な)内容だ」と主張している。

 さらに、「本訴訟は、RIAAに非合法的で誤解を招く詐欺的商行為を中止させるための、是正措置を求めるものである」とこの訴状は続けている。

 RIAA側は、この提訴に対し、「これは明らかに、『良い行いは、必ず罰せられる』(『人助けは所詮、報われぬもの』の意)」だと、格言を持ち出して応酬した。

 あるRIAAの関係者は、「ファイル交換ユーザーが、提訴されないとの保証を得ることを、弁護士のほうで阻止しようしているのは、まったく残念なことだ」と、電子メールでの回答のなかで述べている。

 今回の提訴は、RIAAが個人ファイル交換ユーザーを相手取って起こした一連の訴訟に対する、初めての法的報復である。

 RIAAの「Clean Slate」プログラムでは、ファイル交換ユーザーは、KaZaAなどのサービスを使ってダウンロードした、著作権で保護された作品の複製を破棄し、さらにネット上で違法なファイル交換を二度と繰り返さないことを誓約する公証宣誓供述書に署名しなくてはならないことになっている。

 しかし、Parkeの弁護士であるIra Rothkenは、RIAAの法律関連資料を見直した後で、次の点を指摘している。RIAAのプログラムに応じて、自ら名乗り出たファイル交換ユーザーには、実は本当の恩赦といえるものは何も与えられない。同協会は、難解な法律用語を振り回しながら、実は名乗り出たユーザーに関する個人情報などのデータを破棄することには同意しておらず、あるいは他者から訴えが起こされた場合にそのユーザーを守るとの約束もしていない。

 「法律関連文書の内容からすると、名乗り出たユーザーへ与えられる唯一の見返りは、RIAAが協力しないということだ。この文書では、RIAAのメンバー企業が訴訟を起こすことを禁じてさえいない」(Rothken)

 今回提出された訴状は、裁判所に対して、RIAAが自らのプログラムを誤った形で宣伝することを禁じるよう求めている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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