人気の高いファイル圧縮技術Zipをベースにしたソフトウェアに、新バージョンが登場している。しかし、ユーザーは互換性のないフォーマットに頭を悩ませているかもしれない。
Zipは、ファイルの保存やインターネットでの転送用のファイル圧縮フォーマットとして、10年以上前から非常に人気が高い。「.zip」拡張子のついたファイルは、MicrosoftのWindowsオペレーティングシステム(OS)の最近のバージョンに内蔵されているツールなど、多数のソフトウェアで読み出し、展開することができる。
しかし、米PKWareというZip標準を開発・公開した小規模なソフトウェアメーカーが、PKZipアプリケーションの新バージョンを今年リリースしてから、Zipの便利さの事情が変わってきた。PKZipの新バージョンと、それに続くアップデート版には、現在のところPKWareにしかない、高度なセキュリティ機能が含まれているのだ。
最も人気のあるZipユーティリティのメーカーで、PKZipと競合する米WinZipは、7月に同社ソフトの新バージョンをリリースして、PKZipの動きに応じた。WinZipのアップデートには、PKZipのものと同じくセキュリティ拡張が含まれているが、暗号化キーが異なるため、PKWareのフォーマットと互換性がない。
だが、どちらのプログラムも、暗号化されたファイルと標準のファイルの両方に、基本の「.zip」拡張子を用いている。このため「.zip」ファイルには、PKWareのソフトウェアでしか開かない暗号化ファイルと、WinZipでしか開かない暗号化ファイル、そしてどの圧縮ユーティリティでも開ける標準Zipファイルの3タイプが存在することになり、「.zip」ファイルを受け取った人は、それを開いてみるまで、3タイプのどれなのか分からない。
PKWareとWinZipは互いに、混乱の恐れを引き起こした原因は相手にあるとしている。WinZipの幹部は、自社が競争力を維持するためにはセキュリティ拡張を追加する必要があったとし、PKWareの暗号化スキームを利用できなかったため、独自のスキームを考案せざるを得なかったと主張した。
ファイル圧縮ユーティリティは、かつてはパソコン利用時の必需品だったが、近年ブロードバンド・インターネット接続や大容量ハードディスクが普及し、ファイルを圧縮してスペースを節約する必要が薄れるにつれて、需要が減ってきている。さらにWindowsの最近のバージョンには、Zipファイルの読み出し機能サポートが組み込まれた。WinZipやPKZipのセキュリティ機能追加は、こうした流れを受けての、企業顧客へのアピールを意図したものである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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