「リネージュユーザーはオタクではない」、東大教授が調査

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年07月31日 21時22分

 東京大学大学院人文社会系研究科教授の池田謙一氏は7月31日、エヌ・シー・ジャパンの提供するオンラインゲーム「リネージュ」のユーザー調査を行い、その結果を発表した。

 リネージュはオンラインゲームの中でも多人数型オンラインRPG(MMORPG)と呼ばれるもので、1つのサーバに数千人のユーザーがアクセスし、1つの世界上で同時にゲームを行う点が特徴だ。韓国では約200万人の会員がおり、日本でも現在約20万人の会員がいるという。

 池田氏は、まず、一般的なオンラインゲームユーザーの特徴について紹介。池田氏によると、オンラインゲームユーザーは一般の携帯・PCによるインターネットユーザーに比べて、はるかに携帯・PHSに登録している電話番号数や実際に電話する相手の数が多いという。また、友人や親友の数も多く、「孤独どころかむしろ集団的で、決してオタクではない」(池田氏)

 オンラインゲームユーザーはインターネットサービスの利用率も高いと池田氏は紹介する。オンラインバンキングやインターネットショッピング、ソフトのダウンロードなどを活発に利用していることから、池田氏は「人数の割合から考えてもインターネットにおけるプレゼンスは高い。イノベーターに近い層だといえる」と指摘する。「スタンドアローンのゲームに閉じこもっていたオタクがそのままオンラインゲームに出てきたとも言えないのではないか」と分析した。

東京大学大学院人文社会系研究科教授の池田謙一氏

リネージュユーザーの8割はホームページを所有

  続いて池田氏は、インターネット普及率が全国平均に近い山梨県の一般ユーザーとリネージュユーザーに対してアンケート調査を行い、リネージュユーザーの特徴について分析する。池田氏の研究によると、オンラインゲームユーザーの特徴はリネージュユーザーにもそのまま当てはまるという。

 池田氏は調査結果から、リネージュユーザーはインターネットの機能を活発に利用し、発信行動も積極的に行っていると話す。例えばリネージュユーザーのホームページ所有率は約80%となっており、山梨の一般ユーザーのほぼ倍だという。

  またリネージュ仲間との交流も非常に活発で、チャットやBBS、メーリングリストなどを多くのユーザーが利用している。さらに携帯メールでのやり取りを月に1度以上行っているユーザーは約半数、電話でのやりとりを行っている人も3分の1以上にのぼるという。

過半数のユーザーは毎日ゲームに参加

  リネージュのユーザーの特徴としては、利用時間が非常に長い点が挙げられる。過半数のユーザーが毎日ゲームをしているほか、1日の利用時間は3時間程度という人が最も多いという。「最も利用が多い時間帯は夜中の22時から25時まで」(エヌ・シー・ジャパン マーケティング部シニアマネージャーの染谷光廣氏)とのことだ。

 特に活動時間の長いユーザーを分析すると、血盟(クラン)と呼ばれる仲間と頻繁に活動を共にしている人ほど、1日のゲーム時間も長くなるという。また、可処分時間が長い人ほどゲームに参加する時間が長くなると池田氏は分析結果を紹介した。

  これらの分析結果を踏まえ、池田氏は「リネージュは社会性の強いコミュニティゲームであり、オタクのものと考えると本質をとらえ損ねる」と結論付ける。オンラインゲームはまだニッチな分野としてしか認識されていないが、池田氏は「ニフティのパソコン通信も利用者数が100万人を超えてから社会的認知が変わってきた。リネージュにもがんばってほしい」とエールを送って講演を締めくくった。

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