サンディエゴで開催中のコンピュータグラフィックス会議、Siggraphで注目を集めているテーマは、日常の動作でアイディアを表現したりデータ入力ができる、イマーシブ(没入型)テクノロジーだ。
動作によって3Dペイントの描画や電子音楽の演奏ができるBody-Brushは、香港城市大学のCenter for Media Arts研究員のHay Youngが中心となって開発したアプリケーション。手を上げると音程が高くなり、腕を広げると音量が大きくなるという具合だ。Youngは「芸術療法に利用したいと考えている心理学者とすでに話し合いを持った」と述べた。また、物体を追跡する機能は、セキュリティ目的にも利用できるという。
マサチューセッツ工科大学(MIT)とソニーは、限られたデータ入力で作曲ができるアプリケーションを披露した。MITのHyperScoreは、コンピュータ画面に手で線を書いたりキーボードでいくつかの音を入力すると、作曲ができる。
現在、研究者らは、特定のアプリケーションにどのような技術が最も有効か調査している。たとえば、Body-Brushは赤外線を基盤にしている。Youngによれば、赤外線で部屋の特定の場所を照らし、カメラとセンサーが赤外線の反射を捉える。反射データはコンピュータに転送され、コンピュータは赤外線の当たっている物体を追跡し、グラフィック画像や音に変換するという仕組みだ。米Canestaは同様の方法で赤外線を利用した、携帯電話用のバーチャルキーボードを開発している。製品は来年市場に登場する見込みだ。
一方、作曲アプリケーションはセンサーではなく統計モデルに基づいている。たとえば、ソニーのContinuatorは、バッハの曲を入力したりキーボードをランダムに弾くと、そのデータをデータベースと相関させて、同じスタイルでフレーズを作りあげる。
企業や大学は、テクノロジー管理に対してより直観的な方法を開発しようとしている。今回、会議で目玉となっているインタラクティブ性の追求も、この取り組みの一部だ。こうした技術の推進者は、「音声認識、手書き文字認識、動作追跡といったテクノロジーはいずれ完璧なものにする必要がある」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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