日本電信電話(NTT)、日立製作所、三菱電機は7月28日、3社の共同プロジェクトにより、楕円曲線暗号の実装技術を開発したと発表した。
技術の名称は「ECDSA実装方式 CRESERC (クレサーク)」。「暗号技術で定評のある代表的な複数の企業が、ハイレベルの技術を持ち寄って共同で実装技術を開発した例としては、世界でも初めての事例」(3社)という。
同技術は、2002年11月から3社が開発を進めていたもので、NTTが基本演算の高速安全実装技術を、日立が楕円曲線演算の安全実装技術を、三菱電機が楕円曲線演算の高速実装技術をそれぞれ担当した。
3社では、「電子政府やユビキタス環境の中核となる暗号技術と電子認証技術では、実際の運用に耐え得る安全で高速な実装技術が重要な研究開発課題」と説明する。しかし、これまでの実装技術には、安全性と処理速度のトレードオフというジレンマにあったという。「そこで、 3社が共同研究開発プロジェクトを立ち上げ、他社製品と同等の処理速度を確保しつつ、世界最高レベルの安全性を実現する実装技術の開発に成功した」(3社)
3社では、今後、同技術をベースとし、それぞれの優位技術を生かした製品を電子政府向けシステムやユビキタス関連のセキュリティ製品に導入していくとしている。
楕円曲線暗号とは、楕円曲線上の演算規則を利用した公開鍵暗号技術。RSA暗号に次ぐ次世代公開鍵暗号として注目されている。ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)は、楕円曲線暗号によるデジタル署名のアルゴリズム。欧州連合認定の暗号選定プロジェクト「NESSIE」や経済産業省の暗号評価プロジェクト「CRYPTREC」の推奨暗号に選定されている。
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