三井物産は7月23日、同社のインターネットマーケティング事業に関する説明会を開催し、Eメールマーケティングサービス「miems(ミームス)」の現状を紹介した。
会場ではまず、同社ITマーケティング事業部インターネットサービス事業室長の大泉克彦氏が同社のインターネットマーケティング事業の概況について説明した。大泉氏は、三井物産が手がけているアフィリエイトプログラムのリンクシェアが現在、通販サイトのアフィリエイトにおいて業界シェア56%とトップの地位を占め、今年の取り扱い額が200〜300億円になると紹介。さらに、ネットエイジから株式を購入し、4月に子会社化したポイントサービスのネットマイルについても、業界シェア50.1%、会員数が約180万人と「業界のデファクトスタンダートになった」(大泉氏)という。これらのインターネットサービス事業が好調なことを受け、「miemsも近いうちに業界トップになりたい」と意気込みを語る。
miemsは、メディア企業やオンライン通販事業者を対象に、Eメールを利用したキャンペーンの企画立案からコンテンツの制作、配信、結果分析までを1つのパッケージにして提供するサービス。同社ITマーケティング事業部インターネットサービス事業室Eマーケティング事業推進チーム チームリーダーの近藤安徳氏は「LinkShareやNetMileを利用しながら新規の見込み客を獲得し、miemsを使って顧客とのメールコミュニケーションを行っていく」と戦略を語る。
三井物産ITマーケティング事業部インターネットサービス事業室長の大泉克彦氏 | |
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開封率やクリック率を分析し、最適化を図る
競合他社との差別化についても、「メール配信だけを提供する事業者は多いが、顧客の新規獲得から購買への誘導、顧客の維持まで一貫したキャンペーンを展開できる点が強み」と近藤氏は説明する。
miemsの特徴は、各URLのクリック率や購買行動へ結びついた割合(コンバージョン率)が図れるほか、HTMLメールであれば開封率も計測できる点にある。さらに、各利用者がどのURLをクリックし、どんな商品をどれだけ購入したかというデータも追跡できるという。これらのデータを収集・分析して、キャンペーンの最適化を図っていく方針だ。
近藤氏は、大手ECサイトが年末商戦に向けて1カ月間に計4回メールを配信し、新規顧客の開拓と商品販売を行った例を紹介した。最初の3回に送信したメールに反応したユーザーと反応しなかったユーザーに分け、内容の異なるメールを送信したところ、大きな効果が出たという。過去3回のメールに対して何らかの反応をしたレスポンスユーザーには、反響の高かったDVDを前面に押し出したメールを配信し、何の反応も示さなかったノンレスポンスユーザーに対してはプレゼントを前面に押し出した内容のメールを配信したのだ。その結果、前者のレスポンスユーザーからは過去4回で最も多い購買件数を獲得したほか、後者のノンレスポンスユーザーからも10%のクリック率を獲得したという。
HTMLメールとテキストメールを自動的に使い分け
miemsのもう1つの特徴は、HTMLメールとテキストメールの両方に対応するマルチパート配信という方式を採用している点だ。HTMLメールはクリック率が高い一方で、セキュリティ上の問題からHTMLメールを表示しない設定にしているユーザーも多い。マルチパート配信は、HTMLメールを拒否するユーザーに対して自動的にテキストメールを表示する方式だ。近藤氏によると、miemsを利用する顧客の7割はこのマルチパート配信を利用しているという。
三井物産は2002年10月よりmiemsの提供を開始しており、現在は20社ほどと契約があるという。現時点での売上高は明らかにされなかったが、3年後の目標として売上高50億円、顧客数150社を掲げている。
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