「ソフトウェアの開発業務をコストの安い海外にシフトするのは、収益上極めて重要だ」。米国時間21日、カリフォルニア州サンタクルーズにて開かれたEnterprise Offshoringカンファレンスに参加したソフトウェアメーカー経営者や業界アドバイザーは、こう語った。
だが、開発業務の海外シフトを少しずつ試してみるべきか、それとも思い切って進めるべきかについては、会議の講演者のそれぞれが異なる意見を持っていた。
思い切って海外シフトを進めるべきだと語ったのは、インドでのソフトウェア開発への支援サービスを提供しているSymphony Servicesの会長Romesh Wadhwaniだ。Wadhwaniは、さまざまなプログラミング業務の海外シフトは、収益上の問題を抱えるソフトウェアメーカーが収益改善を図るための大きな力となり得ると言う。
3日間の会議を主催した投資調査会社Sand Hill Groupが同日発表した調査結果によると、10社のうち8社以上のソフトウェアメーカーが、プログラミング業務の海外シフトを実施中または来年中に始める計画だという。業務のオフショア化に対する関心の高さは、今回のイベント参加者の人数にも現れていた。Sand Hill Groupは当初100名程度の参加を予想していたが、実際には150名も集まったのだ。
ソフトウェア業界での安価な海外労働力の活用は、IT関連やその他の業務を海外へ輸出しようという、もっと大きなトレンドの一部である。米国内のコンピュータ科学者や数学者の失業率が増加し、また米国の技術分野におけるリーダーシップが疑問視されているいま、この潮流が激しい論争を生んでいる。
たとえば、ソフトウェアメーカーのManugisticsでは、約100名の開発者をインドで雇用したことが、米国内の開発者をおよそ450人から275人に削減したことにつながったという。同社の最高経営責任者(CEO)であるGreg Owensは、講演のなかで、米国内での人員削減をさらに進める計画があるとも語った。米国の技術者たちに対する助言として、Owensは最新のテクノロジーを学ぶなどスキルを磨くことを薦めた。「(IT関連の仕事は)それでも良い職業だ」というのが彼の考えだ。
ソフトウェアメーカーGupta Technologiesの最高執行責任者(COO)Charles Stevensonも、業務の海外シフトが、本当は米国のプログラマーのためにもなると述べた。Guptaは、2002年1月にインドのSonata Softwareにプログラミング業務の委託を始めた。それで米国内のプログラマーの何人かは職を失ったが、ほかのプログラマーたちは、主要な業務に今まで以上に集中できるようになったという。「実は、トップエンジニアたちは、外注化を好ましいと考えている」(Stevenson)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」