前回はシードマネーの出所と、シードマネー段階で投資を行うエンジェルについて説明しました。
もちろん、みんながみんなエンジェルにめぐり合うということはありえず、多くの人はなんとか自己資金をつくって創業していくのが現状です。
私のまわりにいる起業家の実例から、30代で自己資金を使って創業した人たちをみてみると、
という例が意外と多いようです。つまり、最初から2000〜5000万円を用意できる人はやはり例外的だということです。例えば、軽作業派遣業で上場していまなお急成長中のフルキャストも、最初は平野岳史社長が家庭教師派遣業を細々と始めたのがスタートだと聞きました。そんな草の根から次第に大きくなった企業も数多いのです。
では、そのほかのスタートアップのパターンを2、3みてみましょう。
起業コンテストに参加
エンジェルから資金を得る以外に、起業アイデアコンテストに参加して優勝し、資金をえるという手もあります。社団法人ニュービジネス協議会によるニュービジネス大賞(平成15年度分は7月31日まで受付)や大前研一さんのビジネスジャパンオープン 、滋賀県や大分県など自治体主催のものなど、探せばいろいろ出てきます。それらに片っ端から応募するのです。優勝アイデアには誰か投資家がつく可能性があります(絶対つくとは限りませんが)。しかし、この手のアイデアコンテストは、はっきり申し上げますとかなり玉石混交で、質のばらついた起業アイデアの洪水の中にあなたのアイデアがもまれることになります。また、ステルスモード(秘密に事業準備をすること)を捨てなければならないのも欠点のひとつです。
大学発のベンチャー創業制度にのる
最近我が国でも大学の中に眠っている技術をビジネス化しようという動きが活発です。政府は、3年で1000社の大学発ベンチャーを生むという目標をかかげているようです。もし貴方が大学の助手などの立場で技術的な差別性があれば、そのような動きに乗るのがよいでしょう(具体的にどのような制度なのかについては私はあまり詳しくなく、申し訳ありませんが、ご自分でお調べください)。
インキュベータを利用する
インキュベータとは事業孵化サービスのことで、主に事業構築のアドバイ スをおこなうタイプと、オフィススペースや法務・労務・経理・人事などのバッ クオフィス業務の提供、法律相談、経営相談などの機能を提供しているタイプとがあるようです。 地方自治体などのおこなうインキュベータの大半は後者に属します。
前者のタイプのインキュベータのうち、一部は起業家の作った(あるいはこれから作 ろうとする)会社への出資もおこなっております。たとえば、東証マザーズに上 場したドリームインキュベータなどもそうです。また、現役技術者を起業家にし たてあげるアイティーファームという会社も注目すべき存在だと思います。
ネットエイジについて少々
わたしの作った会社(ネットエイジ)はネットビジネス専門のインキュベータで す。主に、社内で事業アイデアを生み出して、プランニングから技術開発まで一 貫して内製して作っていくという、「自作自演」型のインキュベーションを特色 としています。この方式で過去5年間で合計14社を生み出しました(ずいぶん やったなあ、と自分でも時折感心してしまいます)。
一方、当社では外からの起業家の卵を迎え入れる制度もあります。これをEIR (Entrepreneur in Residence=住み込み起業家制度)と呼んでいます。実はEIRはシリコン バレーの一部の先鋭的なベンチャーキャピタルがおこなっているのを知って、当 社でもはじめたものです。もちろんスピンオフのときに創業期投資を します。この制度から2社が生まれています(それぞれの詳細については当社のウェブサイトをご覧ください)。
我こそは、という起業家志望のあなた、素晴らしいビジネスアイデアをひっさげ て当社のEIRの門をたたいてみてください。メール1本からあなたの運命が変 わるかもしれません。いつでも歓迎ですよ!
(以下つづく)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手